昨日巡ってきた屈辱の日。4月28日。

1952年4月28日、サンフランシスコ講和条約の発効によって、沖縄が「合法」に米軍の支配下に置かれた日である。とは言え、それまでの米軍占領下の継続という点では変わらないのであるが。

自国の領土を戦勝国とは言え他国に自ら差し出すことは、日本国民にとって屈辱以外の何者でもないと思うのだが、昨年の政府主催の「主権回復の日」式典に示されるように、4.28は祝う日と位置付けられている。

安部首相は、この4月28日を選んで米国を訪問し、オバマ大統領との会談に臨んだ。

昨日付の琉球新報は、会談の日に合わせて社説を1面に掲げ、次のように指摘している。


現在、日米両政府が沖縄で進めていることは巨大な不正義、不公正、民主主義の否定である。

両国が国際社会で発信すべきことは何か。言うまでもなく自由と平和と人権の擁護、民主主義の持つ普遍的価値であろう。

それら全てを否定する野蛮な行為を両国は沖縄で進めている。沖縄の民意を尊重するのが民主主義国家の取るべき道だ。両首脳は新基地の強引な建設を中止し、正義への責任を果たしてもらいたい。

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本日の報道内容を見る限りでは、日米両首脳は「巨大な不正義、不公平、民主主義の否定」をこれからの続けるようである。

発表された共同声明は「日本の国際協調主義に基づく『積極的平和主義』の政策および米国のアジア太平洋リバランス戦略を通じ、地域及び世界と平和で繁栄した将来を確かなものとするために緊密に連携している。」、「米異国は、日本における安定的で長期的な米軍のプレゼンスを基礎として、日米安全保障条約に基づく自らのコミットメントの全てについて固い決意を持っており、揺らぐことはない。」としている。

共同声明には、普天間や辺野古は一語も出てこないが、27日の2+2の内容と重ね合わせると「辺野古が唯一の解決策」として、辺野古への基地建設を強行することを確認しただけである。

会談では、オバマ大統領の口から「オキナワ」の言葉がでることはなく、安部首相からは「翁長雄志知事が辺野古への新基地建設に反対していることを米側へ明確に伝えなかった。」

沖縄県民の民意を踏みにじり、「翁長知事が反対していることは、米側に伝える。」との約束をも反故にして、辺野古への新基地建設を推進することは許されない。

共同声明には、「日米両国は、グローバルな協力を拡大すべく努める上で、次の共有された原則に従う。」として、「民主主義、人権および法の支配への支持」を掲げている。

折しも、昨日の辺野古の海では海上保安庁の職員が、抗議船に乗り移ったために、抗議船が転覆するという事件が起きている。

県民の民意を踏みつけにして、暴力的に新基地を造ることが、彼らの言う民主主義、人権、法の支配である、共有された原則なのか?

言っていることと、実際にやっていることとの落差、矛盾について真剣にとらえ、「普遍的価値としての民主主義」とは何かについて、世界に発信してもらいたい。

1952年から63年、日米両政府は4月28日をふたたび屈辱の日としてしまった。