2014年4月30日付の琉球新報紙面に「無料利用7億円分 県内有料道路08~12年度 米軍車輌、日本が負担」との見出しの記事が掲載されている。

糸数慶子参議院議員の質問主意書に対する政府の答弁書を紹介している。

糸数議員は米軍のレジャーや観光目的で使用されるバスやレンタカーにも米軍から通行証が発行されていると指摘している。

この指摘に対して、答弁書は「米軍の報告に基づいて」、「米軍の公務のために使用されていない事例は、確認されていない。」としている。

米軍横田基地のホームページにはサービスの優遇性を紹介し、レンタカーの利用者を募っていたというのだから、公務であり得るはずはないのだが、米軍の報告には一点の疑いも持たない政府のことだから、公務外での使用などないのだろう。

沖縄分は7億3000万円だが、全国では同期間で38億6900万円になるという。

酒を飲んで車を運転して事故を起こしても公務中、女性とドライブ中に事故を起こしても公務中。

米軍にとって「公務中」は心強い免罪符である。

そもそも、米軍車輌が有料道路をタダで通行し、それを国民が負担しなければならないのか。
それは日米地位協定に次の定めがあるからである。

日米地位協定第5条2項に「合衆国の軍用車両の施設及び区域への出入並びにこれらのものの間の移動には、道路使用料その他の課徴金は課さない。」とある。

ここでいう「施設及び区域」について、外務省は「安保条約、地位協定上『施設及び区域』そのものに関する定義は存在しないが、その内容は『建物、工作物等の構築物及び土地、公有水面』をいうものと解され」ると解説している。

ざっくり言えば日本が米国に提供している基地や演習場と考えて良い。

この条文を素直に読めば、公務中か否かではなく、軍用車輌であるかどうかが問題であり、果たしてレンタカーやバスが軍用車両に該当するのだろうか?

軍所有の車輌が不足していたから、レンタカーを借り入れたといえば軍車輌と言えなくもないが、それならホームページで利用を募ることもない。

この問題が現在どのようになっているのか、継続した追及と続報がほしいところである。