ホテル客室単価上昇せずホテルを経営する かりゆしグループの平良朝敬CEOは、「観光は平和産業だ。辺野古移設を受け入れると楽園を放棄することになる」と主張して、去る1月19日の名護市長選挙では、稲嶺進候補を応援したことは記憶に新しい。

1994年9月、当時の宝珠山昇防衛施設庁長官は「沖縄は基地を提供する優れた位置にあることをプラスに転じて、基地と共生、共存する方向に変化してほしい。」と発言し、県民の怒りを買った。彼は、基地が観光資源になるとも述べている。

沖縄県の発表によると、2013年の1年間で沖縄にやって来た観光客は、前年比で9.9%増の641万3700人となった。
ホテル・宿泊業界は、宿泊客が増えてウハウハ喜んで、ガッポリ儲かっている印象であるが、現実はそれとはほど遠い。

昨日の3月28日付の琉球新報は、15カ月連続で客室稼働率は前年同月を上回り、2014年1月は前年同月比4・7ポイント増の68・2%、観光シーズンの昨年8月には稼働率88・2%だとする日銀那覇支店の調査結果を報道している。
ところが、客室単価は前年を下回り、1室当たりの売上高はシティーホテルで5・1%、リゾートホテル3・6%、宿泊特化型ホテル5・9%にとどまっている。

客が増えれば人でも増える、それでも単価を落ちて追いつかない状況が目に見えるようだ。
従業員に負担が押し寄せ、沖縄のホテル従業員の待遇の悪さは、常に指摘されている。

何故、こんな状態になったのか?
一つのきっかけは、2001年のニューヨークで起きた同時多発テロである。
「国内の74%の米軍専用施設がある沖縄は当時、風評被害に悩まされ、その打開策として「特別料金」を設定して誘客に努めたが、一旦落とした価格は元に戻ることはなかった。」のである。
これは、ホテル業だけではなく、当時あるバス会社の社長からも同様の話を聞いたことがある。

まさに観光は平和産業であり、とても「基地と共生、共存」できる代物ではないことは明らかである。
これ以上の基地強化はもちろん、産業発展の大きな支障となっている普天間はじめ米軍基地の早期返還が求められる。