2006年8月、中国人実習生による殺人事件について報道されていました。

なぜ中国からやってきた青年が、殺人を犯すことになったのか、その背景については、当時報道されていなかったように思います。

最近、外国人研修生・実習生の問題での報道が目につくようになってきました。

それとともに、外国人研修生・実習生問題が、制度的な問題であること、その制度を悪用して研修生・実習生を食い物にしている実態が明るみに出始めています。

3月18日、津地裁四日市支部は、「研修生として作業していた期間も、最低賃金法に規定する労働者」と認め、雇用先に284万円の支払いを命じています。

熊本の研修生・実習生をはじめ、各地で裁判に訴える例も増えています。

なぜ、彼ら、彼女らが異国の地で裁判を起こさざるを得ない事態になったのでしょうか?

外国人研修生・実習制度では、来日して1年間は研修生として研修し、その後2年間実習生ととして働けるという制度です。

研修生・実習生として来日するためには、彼らは現地の送り出し機関に日本円で莫大な保証金(先の中国人青年は120万円、熊本の縫製研修生は70万円)を納めています。
この保証金を工面するために、ある者は家を抵当に入れてお金を借り、ある者は親戚などから借金して工面しています。

そして、この保証金は「日本で不始末をしでかして、途中で帰国させられた場合は返還しない」とされているのです。

来日した多くの実習生・研修生は、津地裁四日市支部の判決に見られる場合ですと、研修期間中は残業させてはいけないことになっているにも関わらず、一時間300円の時間外手当で月33時間から171時間働かされていたと認定されています。

総じて、外国人実習生・研修生は使い捨ての安い労働力とみなされ、時給200円や300円台で働かされているような実態が存在します。

このようなひどい環境に対する苦情を言おうものなら、経営者から「国に返すぞ」と脅かされる材料になります。

殺人事件をを犯した中国人青年も、強制帰国されそうになり、強制帰国となれば残るのは莫大な借金だけという気持ちでパニック状態に陥り、殺人を犯してしまったようです。

外国人実習生・研修制度を制度本来の姿に戻し、外国人実習生・研修生が安心して技術習得できるようにしていくこと、

この制度を利用して私腹を肥やす連中が存在しないような透明性を確保することが求められています。

外国人実習生・研修生に関する理解を深めるために、外国人研修生殺人事件  <研修生>という名の奴隷労働 が役立ちます。

外国人研修生殺人事件 はジャーナリスト安田浩一さんの著書

<研修生>という名の奴隷労働 は熊本県労連が2008年6月22日に開催した「外国人労働者問題シンポジウム」の記録