通常の残業手当は、1時間当たりの賃金×1.25×残業時間
で、計算します。

ただし、企業の規模によっては月の残業時間が60時間を超える場合、5割増しとなります。

賃金が時給制であれば、計算も簡単です。
歩合の場合には、ちょっととまどってしまうかも知れません。

では、歩合給の場合は、どのように残業代を計算するのでしょうか?

歩合給の場合は、基本給部分と歩合給部分が併存している場合、働いたすべての時間で歩合にかかる賃金・歩合給を得たことになりますから、次のようになります。

例えば、次のような例をもとに説明します。
 月の所定労働時間が160時間
 残業時間20時間
 基本給を時給に換算した金額を1,000円
 歩合給が月額10万円だと仮定します。

歩合給は労働したすべての時間で稼いだ賃金ですので、1時間あたりの金額は
 100,000円÷(160時間+20時間)=556円

したがって、この場合の残業代は、次のようになります。
 基本給部分の 1,000円×1.25×20時間=31,250円
 歩合給部分の 556円×0.25×20時間=2780円
 合計して 34,030円となります。

 注)考え方を示すために、数値は単純にしてあります。160時間を超えた場合に残業代を支払うように事例を設定してありますが、実際は法定労働時間は、例えば、30日÷7日×40時間=171.4時間などになります。
 また、法内残業か、法定外残業かは、実際に即して判断してください。

歩合給部分の計算で注意しなければならないのは、歩合給の100,000円を稼ぐために費やした労働時間は、残業時間も含めた総労働時間ですので、歩合給100,000円には、すでに歩合給に係る1時間当たりの賃金が含まれていることです。
ですから、残業代としては0.25の割増部分だけになります。

それに対して基本給部分は、残業した時間に対して本給部分にあたる1,000円も支払わなければなりませんので、乗率は1.25となります。