次のような場合には、使用者が労働者を解雇することは制限されます。

法律の条文を紹介します。

労働基準法第3条
使用者は労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取り扱いをしてはならない。

労働基準法第19条
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によって休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。

労働基準法第104条②項
使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない。
 注)「前項の申告」は、労働者が労働基準法違反の是正を労働基準監督署に訴えることを指しています。

男女雇用機会均等法第6条
事業主は次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取り扱いをしてはならない。 
四 退職の勧奨、定年及び解雇並びに労働契約の更新

男女雇用機会均等法第9条
事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
2、事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
3、事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法第第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であって・・・・・当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない。
4、妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。

男女雇用機会均等法第17条2項
事業主は、労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない。
 注)「前項の援助」とは、労働局長の助言、指導又は勧告を求めること。

男女雇用機会均等法第18条2項
前条第二の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準用する。
 注)「前項の申請」とは、労働局長に調停の申請をすること。

育児・介護休業法第10条
事業主は、労働者が育児休業申請をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない。

 育児・介護休業法第16条
第10条の規定は、介護休業申出及び介護休業について準用する。

公益通報者保護法第3条
公益通報者が次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に定める通報をしたことを理由として前条第一項第一号に掲げる事業者が行った解雇は、無効とする。

労働組合法第7条
使用者は次の各号に掲げる行為をしてはならない。
一 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもって、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取り扱いをすること・・

労働安全衛生法第97条2項
事業者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対し、解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない。
 注)「前項の申告」とは、労働安全衛生法違反の是正を労基署に訴えること。

労災で休業業中に「解雇」された、あるいは「辞めてくれないか」と言われた、という事例は案外あるものですが、きっぱりと断りましょう。

また妊娠していると経営者に告げると解雇されたという話を今でも聞くことがあります。

労災や妊娠したことで、「会社に迷惑をかけている」と思い悩み、会社の求めに応じて退職してしまう労働者もいますが、今は、会社のことより自分の身体と生活のことを最優先に考えましょう。

会社の経営者や上司の言動をしっかり記録に残しておくことが大事です。