経営者が労働者を解雇する場合に、必ずしもきちんと理由が告げられているわけではありません。

それでいながら争いになると、労働者が聞いたことも見たこともないようなことを解雇の理由として並べ立ててきたりします。

ですから、解雇時に経営者が何を理由として解雇したのかを明確にさせておくことは、経営者の解雇理由の付加に一定の歯止めをかけることになります。

労働者が解雇理由に対する証明書を請求した場合、経営者(使用者)は遅滞なく交付しなければなりません。それを定めているのが労働基準法第22条です。

この労働基準法第22条の趣旨は、労働者は解雇を予告されて以降解雇時までの間に、解雇理由を記載した証明書を請求できること。
退職した後は退職理由の証明書を請求できる、ということです。

例えば、30日前に予告された場合は、予告期間中に解雇証明を請求できますが、即時解雇の場合は予告期間がありませんので解雇証明を請求しようにも請求できない場合があります。その場合には、退職理由の証明を請求することになります。

解雇が懲戒解雇の場合、解雇時に会社が認識していた理由以外に、解雇後に理由を付加することはできないとされていますので、この証明書は争いで威力を発揮する場合があります。

また、証明書には具体的な理由を記載することが要求されます。
この点については、厚生労働省労働基準局長通達 基発第1022001号 をご参照ください。