年次有給休暇の届出用紙が、「年次有給休暇のお願い」になっていたりする場合があります。

また、取得理由を記入する欄がある用紙を使用している企業もあります。

年次有給休暇を取得するのに、会社にお願いしたり、休む理由を書く必要はありません。

年次有給休暇は、その企業に半年勤め、所定労働日数の8割以上勤務すると、年間10日の年次有給休暇が付与されます。

その後は、1年ごとに1日、1日、2日、2日、2日、2日というように増えていきます。

年次有給休暇を取得するには、時季を指定するだけでよいのですから、何の為に休むのかということは関係ありません。

それに対して、使用者は「事業の正常な運営を妨げる場合」に、他の時季に与える時季変更権があるに過ぎません。

そもそも、年次有給休暇は週1日の法定休日以外に、賃金を保障して休みを与えることによって、労働者の心身の健康を保持しようとする制度です。

そのような趣旨に照らせば、年次有給休暇は、「何かの用事があるから休む」ということより、少し疲れたから家でのんびりゴロゴロしたい、観たい映画があるから休んで観たいという方が、よっぽど年休の使用方法としては正しいのです。

それを許さない企業風土の方が法の精神から逸脱していると言えます。

また、時季という用語に注意する必要があります。決して時期ではないのです。

これは労基法第39条の「継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない」との記載と関係があります。

時季という言葉は、継続した有給休暇の取得を前提としているのです。