経営者に退職を伝るとき、これまで未消化となっている年次有給休暇を消化してから退職したいと考えるのは、労働者として当たり前の気持ちです。
ところが、なかには「退職まではしっかり働け。年休もとってはダメだ」という経営者がいます。

経営者が「ダメだ」と言えば、取れないのでしょうか?

 年休は労働者の権利であり、使用者は原則として労働者が請求する時季に与えなければなりません。

経営者は「事業の正常な運営を妨げる」場合には、時季変更権を行使することができますが、退職する労働者に対して、かなり制限されます。

仮に時季変更権を行使したことによって、年休が完全に消化できない事態になる場合は違法となりますので、時季変更権を行使することはできません。経営者に「ダメ」と言われても、年休権を行使しましょう。

年休を取ることを妨げるのは労基法第32条違反になり、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」です。
年休を取得した場合に、経営者が「勝手に休んでその分は欠勤だ」と、賃金を払わない場合も、同じ罰則になります。

経営者に「年休を取るのはダメだ」と言われても、断固としてとりましょう。それで賃金を払わないのであれば、一人でも加入できる労働組合に加入してがんばるか、労働基準監督署に申告しましょう。