労働基準法では、「週40時間、一日8時間を超えて働かせてはならない」(32条)ことになっています。

残業させる場合には、労働者の過半数で組織する労働組合があればその労働組合と、労働組合が存在しないか、又は存在しても過半数に達しない時は、労働者の過半数を代表する者との書面による協定を結び、労働基準監督署に届け出ることを定めています(36条)。

経営者の中には、労基法に無知な経営者が少なくありません。
「書面による協定」をすることは、当然協定書が存在します。この協定を通常は36協定(サブロク協定又はサンロク協定=労基法第36条に基づいて締結される協定との趣旨)と呼びます。

使用者は、この36協定に基づいて、労働基準監督署(労働基準監督署)への届出用紙に記載して届け出ることになります。
ところが、この労働基準監督署への届出用紙を36協定だと思い込んでいる経営者もいます。

しかし、この二つは同一ではありません。

私の経験では、36協定と労働基準監督署への届出を混同している経営者のもとでは、過半数代表者の選出はまともに行われず、「おい、お前、従業員の代表として、ここにハンコを押しておけ」式の、「過半数代表者」がほとんどです。

従って、労働者は36協定の存在さえ知らないし、誰が過半数代表者としてハンコを押しているのかも知らない、ということになります。

こうした事態を防ぐためには、過半数の労働者で組織する労働組合をつくることが、一番有効です。

■ ちなみに、厚生労働省(労働省)は昭和46年09月27日、基発第665号「 労働基準法第三六条の時間外・休日労働に関する労使協定制度の運用の適正化とモデル三六協定の利用の促進について」題する通達を出しています。
■ 労働基準監督署への届出様式はここで確認できます。