労働者の過半数を組織している労働組合(過半数労働組合)は、団体交渉での交渉力だけでなく、法律上も様々な権利を与えられています。

もっとも知られているのが、残業協定(サブロク協定、サンロク協定と言われている労使協定)の締結当事者となれることです。
その他にも、変形労働時間制導入のための協定なども過半数労働組合との協定が必要です。

多くの職場で問題になる就業規則の作成・改定の問題でも、過半数労働組合があれば、文句なしに使用者は労働組合に意見を求めなければなりません。

こうした権利は、労働基準法に限りません。

民事再生法や会社更生法など、企業の倒産・債権に関わる法律などにも、過半数労働組合の権利を認めている部分があります。

沖縄県労連の加盟組織である「うまんちゅユニオン」が、あるゴルフ場に支部を結成した時は、民事再生の手続き中で、賞与がカットされたりしていました。
そこで、仲間は民事再生法や労働基準法の学習をとおして、過半数労働組合として公然化することを意思統一し、見事にやり遂げました。

民事再生から会社更生へと、手続きは変わりましたが、手続きの局面、局面で過半数労働組合として意見を述べる機会を得ることができました。

このゴルフ場での手続きの場合、過半数労働組合には、裁判所も次のような局面では、意見聴取又は通知することになっているのです。

民事再生で継続するか、会社更生に移行するか、過半数労働組合に意見を求める。

再建案が出された時は過半数労働組合に意見を求める。

債権者集会が開催される際は、日時と場所を過半数労働組合に通知する。

等々

したがって、このゴルフ場では重要な局面において、債権に向けた動きと内容を把握し、労働組合の意見を取り入れるよう努力した結果、自らの労働条件が労働者・労働組合の頭越しに決められることを防ぎ、一定の労働条件の維持を実現することができました。

 詳しく学習したい方は、労働組合づくりの基礎知識が参考になります。