労働組合法でいうところの労働者とは、「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」と定義されている。

労働者であるか否かの判断要素として、①その者が当該企業の事業遂行に不可欠な労働力として企業組織に組み込まれていること、②契約の内容が一方的に決定されること、③業務遂行の日時、場所、方法などにつき指揮監督を受けること、④業務の発注に対し諾否の自由がないこと、などが挙げられている。(菅野和夫「労働法第8版」)

4月11日の最高裁(第3小法定)判決も、こうした観点からの判決となっている。

最高裁は、住宅設備機器メーカーINAXから修理・補修業務を委託契約していたCE(カスタマーエンジニア)は、労組法上の労働者と判断した。

CEらが所属する全日本建設交運一般労働組合(建交労)発行の雑誌「建交労」5月号によれば、最高裁は、

1,イナックスの業務を主としてになっているのがCEであり、イナックスノ組織に組み入れられている。

2,契約内容をイナックスが一方的に決定していた。

3,CEの報酬が労務提供の対価としての性質を有していた。

4,CEによる拒否について債務不履行責任が問われなくても、イナックスによる修理補修の依頼に応ずべき関係にあった。

5,CEが指揮命令を受け労務提供を行い、場所的・時間的に一定の拘束を受けていた

などの点を認定し、CEは労働者と判断している。


労働者として雇用すれが、社会保険などにも加入しなければならず、源泉徴収などの事務費用もかかることから、「業務委託」などとしてこれらの費用を免れ、また、使用者責任を回避するために、130万人とも言われる多くの労働者が「個人事業主」にさせられている。

このような労働者は、労組法上の労働者にとどまらず、労基法上の労働者としても認められてしかるべきと考える。

何はともあれ、諦めることなくがんばってこられたCEの皆さんに乾杯を捧げよう!!