2012年2月24日付の沖縄タイムスに、「元部長の降格無効 那覇地裁 外資系企業敗訴」の見出しで23日に那覇地裁が出した判決に関する記事が掲載されている。

成績主義や評価主義、能力主義などの名で労働者を査定して賃金を引き下げ、あるいは降格までされる事態が広がっている。

しかも、「何故そのような評価になるのか」という点が明らかにされず、評価の結果だけが押しつけられる場合も多い。そうしたケースでは評価が上司のさじ加減ひとつで決まり、極めて恣意的な運用がなされていたりする。

そもそも、評価主義等々の人事・賃金制度では、客観的な基準を設けることは困難で、基準といっても極めて抽象的な基準となるケースが多いと言わざるを得ない。

那覇地裁判決は、そのような風潮に一石を投じるものと言える。


 那覇市内の外資系ホテルの運営会社から2010年7月に降格処分されたのは無効だとして、宿泊部長だった男性(60)が、当時の支配人や同社などを相手 に地位確認などを求めた訴訟の判決で、那覇地裁(平田直人裁判官)は23日、同社の人事考課が「裁量の範囲を逸脱している」などとして処分は無効とし、男 性が処分前の地位にあることを認めた。

 判決は、男性が求めた降格前との差額賃金の支払いと慰謝料330万円のうち55万円の支払いも命じた。

 判決では、男性の人事考課の項目がすべて最低値になっているものの、成果目標に対する達成状況から本来もっと高い数値であるべき項目があり、最低値とし た合理的な理由や根拠が示されていない点を指摘。当時の支配人によって「恣意的に評価されたと言わざるを得ない」などとした。

 男性の代理人弁護士は「不当な人事権の行使で泣き寝入りしているケースは多いと思う。今回、裁判で認められた意義は大きい」と話した。