2004年7月から2009年3月まで、洋麺屋五右衛門の錦糸町店で、1日3時間から11時間働いたが、洋麺屋五右衛門は変形労働時間制を採用していると称して、残業代を支払わなかったのは違法として、アルバイト店員が残業代の支払いを求めた裁判で、東京地裁は7日、アルバイト店員の訴えを認め、洋麺屋五右衛門に残業代と付加金の支払いを命じた。

裁判所は「就業規則などで制度の内容を明らかにしておらず、労働基準法上の要件を満たしていないとと認定し、会社の主張を退けたものである。

労働時間制は「週40時間、1日8時間を超えて働かせてはならない」(労基法第32条)のが原則である。

そのうえで、労基法第36条による協定の締結を条件に、週40時間、1日8時間を超える労働を認めている。

変形労働時間制は、労基法第32条の2(一箇月単位の変形労働時間制)、第32条の3(フレックスタイム制)、第32条の4(一年単位の変形労働時間制)、第32条の5(一週間単位の変形労働時間制)が認められている。

これらの変形労働時間制は、無条件に認められるものではなく、一定の要件が課されている。

洋麺屋五右衛門の場合は、どの変形労働時間制を採用しているのか、新聞等の報道でははっきりしないところであるが、「シフト表が半月分しかくまれていない場合もあった」との報道もあることから推察するに、1箇月単位の変形労働時間制を主張したと思われる。(あくまでも推測です)

1箇月単位の変形労働時間制度を採用するためには、労働基準法第32条の2によらなければなりません。

労働基準法第32条の2は、過半数労働者または過半数代表者との書面による協定、または就業規則等によって「一箇月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が前条(第32条)第1項の労働時間(週40時間のこと)を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、特定された週において同項の労働時間または特定された日において同条第2項の労働時間(1日8時間のこと)を超えて、労働させることができる。」と定めています。

 洋麺屋五右衛門の場合は、就業規則で制度の内容を明らかにしていないというのですから、変形労働時間制を採用しているという主張は、とても無理があるということになるのでしょう。