何の権限もない取締役にされ、建交労(全日本建設交運一般労働組合)佐賀県本部に加入したことを理由として、佐賀ゴルフガーデンから解雇された組合員が、労働契約存続の確認を求めて争っていた、「なばかり取締役」事件で、佐賀地裁は26日、「原告が被告株式会社佐賀ゴルフガーデンに対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する」との判決を言い渡しました。

判決はまた、「被告らは原告に対し、連帯して解雇期間中の賃金と慰謝料の合計約600万円の支払いを命じています。

原告男性は、2007年の会社設立と同時に「取締役」とされましたが、勤務実態に何の変化もなく「単なる従業員とほとんど変わらない立場で、取締役としての実質がなく、労働組合法で組合への参加が許可されない「役員」には該当しないと認定されたものです。

マクドナルドなどでの名ばかり管理職の残業代請求訴訟などは、会社の規模が大きく与える影響も大きいことから、全国的に報道されました。

今回の事件は、九州佐賀の小さな会社での事件ですから、それほど大きく全国的に報道されるとは思われません。

しかし、この判決は、たとえ取締役という肩書があったとしても、労働者としての実質を備えていれば、労働組合法上の労働者であり、労働組合に加入することはできるという点を、明確に判断したもので、小さい企業にありがちな「従業員を取締役にして員数を揃える」とか、融資の担保を差し出させるために肩書だけ与えられるような「取締役」にとって、活用できる部分は大きいと考えられます。