辞めたくても、会社が辞めさせてくれない
という悩みを持っている方が、案外といるのではありませんか?

期間の定めのない労働契約(雇用契約)の場合は、2週間前に通告することで、契約を解除できます。 

問題は、有期雇用契約の場合です。
有期雇用契約は、「やむを得ない事由」がない場合に、使用者から一方的に解雇できない側面と、労働者も自分の都合だけではやめることができないという、二つの側面を持っています。

それでも、「こんな会社もう我慢できない、一日も早く辞めたい」と思う場合があります。

そんな時に活用できるのが、労働基準法の第15条です。

労基法第15条(労働条件の明示)は、概ね下記の内容です。
① 賃金、労働時間その他の労働条件を明示すること。
  これらの明示は書面で行うこと。
② 明示された労働条件と実態が違っていた場合、
  労働者は即時に労働契約を解除できる。
③ 前項の場合(労働条件を解除した場合のこと)、仕事をするために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合には、使用者は必要な旅費を負担する。

有期雇用の労働者が辞める場合に、この②を活用することができると考えます。

なぜ、会社を辞めたいと考えるのでしょうか?
大方は、労働条件に対する不満があるのではないでしょう?
そこで、自分の労働条件を採用される際の約束(労働契約)に照らしてチェックしてみましょう。
チェックのポイントは、労基法上明示しなければならない事項で、下記の点になります。

①労働者が従事すべき業務の内容に関する事項
②労働契約の期間に関する事項
③就業の場所に関する事項
④始業および就業の時刻、所定労働時間を越える労働の有無、休憩時間および休日に関する事項
⑤賃金の額に関する事項
⑥健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険の適用に関する事項

これらの点について、会社の説明と実際の労働条件が異なる部分があるかどうかをチェックしてみるのです。
派遣労働の場合であれば、契約以外の業務をさせられているかどうかも、チェックポイントです。
場合によっては、上記の諸点が明示されていない時もありますが、この場合は法律に照らしてチェックしましょう。

自分の労働条件をチェックしてみると、少なからず契約に違反する部分が出てくるのではないでしょうか?
こうして違反する部分が明確になると、労働条件を解除することも可能になると考えられます。

ですが、ただちに辞めることをお勧めしません。
辞めることが目的ではなく、多くの労働者の願いは、約束どおりにしてほしい、せめて労働基準法は守ってほしいということであり、それが経営者になかなか聞き入れらないから「辞める」という選択肢を考えるのではないでしょうか?

契約違反、法律違反が明らかになっているのですから、職場の仲間と力を合わせて、
 約束はきちんと守ってほしい!
 法律は守ってほしい!
と要求しましょう。

労働者の権利である労働三権を行使し、正々堂々と要求するために、労働組合に加入すること、また結成して立ち上がることをお勧めします。