給与明細に社会保険料等と並んで、所得税や住民税の欄があり、自分の給料からそれぞれいくら引かれているかがわかります。

もちろん、非課税の方もいますから、誰でも必ず引かれているというものでもありません。

会社や自営業の方々は、自分の設けはいくらだから、納めるべき税金は幾ら、というように、自分で税金を計算し、納付します。

ところが、労働者は自分で税金を計算することにはならず、働いてもらう給料から否応なく税金を差っ引かれてしまいます。

税金の地支いもなく、引かれるがままにしていると「取られすぎ」という事が起きる場合があります。

実際、12万円の給料をもらい、10%の12,000円が所得税として引かれていた、という事例も寄せられています。 

税金を考える場合、収入と所得の区別をきちんと理解することが必要ですが、混同してしまい「税金は収入の△%」と思い込んでいる方もイます。

税金は収入に対して課税されるのではなく、課税所得に対して課せられます。

実際はどのようになっているのでしょうか。

税金(ここでは税金と言う場合所得税を指しています)は、毎月もらう給料から月々天引(源泉徴収)され、年末に清算(年末調整)され、取り過ぎた分は払い戻され、足りない場合は追加徴収されることになります。

1月から12月までの税金を確定する作業は、次のような手順になります。
(ただし、医療費控除や、雑損控除などは翌年の確定申告で行います)

例えば、12万円の給料のAさんが扶養家族がなく、健康保険6,490円、年金保険料9,996円、雇用保険料720円を支払っていると仮定すると、毎月の給料から保険料を差し引かれた残りの102,794円に対して、引かれる税金は810円となります。

12万円の収入から社会保険料を差し引いた残りの額に対して、税金がいくらになるかは、国税庁作成の「源泉徴収税額表」で決められています。(仮に、扶養家族が一人いたと仮定すれば税金はゼロ円となります。)

こうして、1月から12月の1年間に、Aさんは年9,720円(810円×12か月)の税金を徴収されていることになります。

Aさんから年間9,720円を徴収してきた会社は、1年間にAさんに支給すべき給料が確定した段階で、1年間の税金を確定する作業を行わなければなりません。この作業を年末調整と言います。

この年末調整は次のように行われます。(実務的な説明だけにします。)

①収入に対する「給与租特控除後の給与等の金額の表」により、給与租特控除後の給与等の金額を求めます。

 Aさんの年収は12万円×12か月=144万円ですので、790,000円となります。

②給与租特控除後の給与等の金額790,000円から

 基礎控除 380,000円

 社会保険料控除 206,472円

 を差し引きます。

 残りは203,528円となります。

この203,528円から1,000円未満の金額を切りすてた203,000円が課税所得となります。

課税所得金額に対する税率は、1,950,000円以下が5%、195万円を超え3,300,000円以下が10%ー97500円となっていますので、Aさんの年間の税金は、203,000円×0.05=10,150円となります。

よって、月々納めてきた税金は810円×12か月=9,720円ですので、追加徴収額は430円となりますが、100円未満は切り捨てとなりますので、最終的には400円を納めることになります。

Aさんは、控除される金額が、基礎控除と社会保険料控除しかないため、この仮定のもとでは追加徴収との結果になりましたが、扶養控除の対象となる扶養家族がいると扶養控除が、生命保険料を払っている場合は生命保険料控除、その他の控除がありますので、それらが該当する場合には、税額が変わってきます。

いずれにしても、12万円の10%12,000円(年144,000円)が給料から差し引かれるのは異常です。

税金が取られすぎている場合には、会社に誤りを指摘して返金を要求しましょう。

会社が返金に応じない場合には、源泉徴収票を必ず発行してもらい、翌年3月からの確定申告をしましょう。