去る4月19日の辺野古座り込み10周年集会で採択された「アピール文」を掲載し、アピール(訴え)を広げる一助とします。


アピール文

 本日、私たちは、ボーリング調査阻止・座り込み10周年を迎えました。辺野古をはじめとする地域住民が基地反対に立ち上がり、行動を開始した時から数えると17年、「新基地NO」の市民意思を示した名護市民投票からも16年を超えます。
 10年前の今日、夜もまだ明けない暗闇の中、新基地建設に向けたボーリング調査を強行するためにやってきた作業車や作業員を、泊まり込んでいた多くの住民・市民・県民の抗議によって追い返したことを昨日のことのように思い出します。その日から始まった海岸での座り込み、カヌーや小船、ボーリングやぐらの上で、夏の焼けつく暑さにも、冬の身を切るような寒風にも、作業員の暴力にも耐えた1年に及ぶ過酷な海上阻止行動によって私たちはリーフ上埋め立て案を廃案に追い込みました。それは地域住民・名護市民だけでなく県内外、さらに世界にまで広がった支援と共感の輪による勝利だったと思います。
 にもかかわらず、何が何でも辺野古新基地建設を強行しようとする日米両政府は、新たにV字形沿岸案を当時の名護市長と県知事に受け入れさせ、海上自衛隊まで投入して違法不当な環境アセス調査や手続きを推し進めてきました。これに対し名護市民は、2010年の市長選挙で「海にも陸にも新たな基地はつくらせない」公約を貫く稲嶺進市政を誕生させ、オール沖縄の「県内移設反対」の流れを作り出しました。県民世論に押されて、条件付き賛成だった仲井眞弘多知事も「県外移設」の姿勢に転換しましたが、しかし、沖縄差別に満ち満ちた安倍自民党政権の’洞喝やカネの力に屈し、民意を踏みにじって昨年末、辺野古埋め立てを承認してしまいました。
私たちは今、10年前に勝るとも劣らない、否、いっそう厳しい局面を迎えています。今年1月の名護市長選挙で私たちは稲嶺市長を大差で再選させ、民意をさらに明確に示しましたが、安倍政権はそれを潮笑うかのように、市長選のわずか2日後に埋め立て手続きを開始し、刑特法や特措法、警察や海上保安庁などあらゆる権力を総動員して市民・県民の抵抗を弾圧する姿勢を見せています。
 しかしながら私たちは、この10年間、否、17年間、日米両政府のどんな圧力・攻撃にも屈せず、子や孫たちの未来のために基地反対の意思を貫いてきました。目の前に広がるこの美ら海に1本の杭も立てさせていないことは私たちの大きな誇りであり、連帯の証でもあります。そして私たちは今、ゆるぎない信念を持って市民の「安全・安心」を守る市長を持ち、多くの国際的著名人・有識者たちの熱い支持を得て、これまで以上に強い基盤を作りつつあります。
仲井眞
知事に埋め立て承認撤回を求め、日米両政府に辺野古新基地建設断念、普天間基地の閉鎖・撤去を強く求めるとともに、ジュゴンの棲む生物多様‘性豊かなこの海を、「平和の海」として子々孫々に継いで行くことを、ここに改めて宣言します。
  2014年4月19日

「ボーリング調査阻止・座り込み10周年」辺野古浜集会参加者一同