沖縄地方最低賃金審議会は、9月12日、最低賃金を3円引き上げ、現行の642円から645円とするよう、沖縄労働局長に意見を提出しました。

沖縄県労連は、3円の引上げでは労働者の生活改善に結びつかないとして、時給1000円以上への引上げを求めて、9月27日に下記のとおり異議申立を行いました。


                          2011年9月27日


沖縄労働基準局 
局長 川口 秀人 様


                     那覇市奥武山町26-24-201
                         沖縄県労働組合総連合
                         議長  中 村 司 

              沖縄地方最低賃金審議会の意見に対する異議申立

 沖縄地方最低賃金審議会は、9月12日に沖縄県の最低賃金を1時間当たり3円引き上げて645円とする意見を貴職に提出しました。この意見は、中央最低賃金審議会の目安を2円上回るものとなっていますが、それにより「健康で文化的な最低限度の生活を営むことのできる」水準に達しているとは言えず、その展望も開き得ないことから、9月12日付「沖縄地方最低賃金の意見に関する公示」に基づき、沖縄県労働組合総連合(以下、「県労連」という。)は、以下のとおり異議の申し立てを行うものです。

               記

【申立の趣旨】
 最低賃金額を時間額1000円以上に引き上げていただくこと。

【申立の理由】
1、時間額645円は、1か月フルタイムで173時間働いても11万1585円にしかなりません。税金、社会保険料などを差し引けば可処分所得は9万5000円にも届かない低額となり、労働者が自立した生活を営むことは極めて困難です。
  最低賃金法では「最低賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定めなければならない。」とされ、労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営む ことができるよう、生活保護に係る施策との整合性を配慮するものとする。」と謳われています。
  毎月勤労統計調査によりますと、2010年平均の従業員規模5人以上の企業における所定内給与は19万7822円となっており、また、家計調査による勤労者世帯の2010年平均で、世帯主の定期収入は24万4639円となってい ます。
  また、県労連が九州各県の県労連と共同で行った最低生計費試算では、25歳男性単身者が九州地方で生活するには、21万8551円が必要であるとの結果となっており、本県においても大差ないものと考えられます。これらの調査結果と比べても、最賃額はあまりに低額と言わざるを得ません。

2,最低賃金を設定する意義は、労働者の生活改善を図るだけでなく「事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与する」ところにあります。
  我が国の経済は、2008年のリーマン・ショックの爪痕が残っているところに、3月11日の東日本大震災と異常な円高が追い打ちをかける状況となってい ます。このような時期だからこそ、経済の6割を占める国民の家計消費を引き上げ、内需拡大をすすめることが求められています。最賃引き上げはその重要な柱に据えられるものです。

3、1時間あたり3円の改定は、九州地方では単独最下位の水準であり、全国的にみても岩手県、高知県と並んで全国最下位となっています。このような金額では、全国との格差は広がるばかりであり、とても容認できません。
  貧困と格差が拡大し、その克服が我が国社会の喫緊の課題となっているなかで、真面目に働いてもワーキングプアと呼ばれるような生活しかできない最賃額ではなく、働く者が希望のもてる金額に改定することが求められています。

4、今回の最低賃金の改定は労働者の生活改善にはつながりません。国際労働機関 (ILO)は「経済危機からの回復と持続可能な成長にとって最も重要なのは、経済政策の中心に雇用を位置づけること」を確認しています。ここでいう「雇用」とは、単に仕事があるというものではなく、所得が保障される良質な雇用であり、ILOが推進するディーセントワークの内容をなしています。

 よって、県労連は沖縄地方最低賃金審議会の意見に異議を申し立て、申立の趣旨記載のとおり、時間額1000円以上への引上げを求めるものです。

                                以上