蒲団の訪問販売業に従事してきた労働者6人が、在職時における残業手当、休日勤務手当などを請求して争っている訴訟で、2009年7月22日、那覇地裁で判決が言い渡されました。

判決は、原告側の主張を認め、残業や休日出勤等に対する割増賃金の支払い、付加金等の支払いを会社に命じました。

この訴訟の特徴は、会社にはタイムカードなど、労働者の勤務状況を客観的に記録した資料がないというなかでの争いとなっていることです。

この訴訟では、たまたま原告6人のうちの一人に几帳面な方(仮にAさんとします)がいて、手帳に逐一メモを残していました。

手帳には、同乗させたアポインターの氏名、営業を展開した地域、売れた場合の金額、売上金の回収状況、等々が記録されていました。

他の原告らは、働き方はAさんとさして変わらず、会社が休日出勤を命じた際は、拒否することなく出勤していたのだから、Aさんが休日出勤したとして記録している日は、他の5人も出勤していた、と主張しています。

これに対して、会社は残業することはあり得ない、売上の伸びない社員は自主的に休日にも営業に出ていたようであるが、被告として指示を出していない、などと主張していました。

会社側証人として出廷した会社専務は、原告側からの追及に、残業や休日出勤の指示を出していたことは認めざるを得なくなりましたが、あくまでも「任意」を主張。

タイムカードなどが存在しない状況の中で、6人の原告のうち、手帳にメモしていた原告はたった一人。

そのたった一人の原告のメモや、その他の証拠・証人調べなどから、原告側に軍配をあげる判決となりました。