内容証明郵便の効用の一つに、時効の中断があることを記載してきましたが、時効の中断とは何でしょうか?

時効とは、簡単に言えば一定の時間が経過することによって、債権の請求権が消滅することで、賃金等の労働債権の時効は2年(退職金は5年)となっています。この時効について定めているのが、労働基準法第115条です。
賃金の場合は、賃金の支払日に支払われなかったという事実をもって、時効の始期となります。

賃金や退職金の未払い等が起きてしまった場合、時効を中断させることを急がなければならない時もあります。
そこで活用できるのが、内容証明郵便による請求です。

民法第153条は(催告)という下記の条文になっています。

催告は、6箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法若しくは家事審判法による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。

逆説的な条文ですが、この条文の趣旨は、催告してから6箇月以内に裁判上の手続きを行えば、時効を中断させることができる、ということになります。

催告とは、債権者(残業手当請求であれば労働者)が債務者(会社)に対して、債務の履行(残業手当の支払)を求める行為で、口頭でも普通郵便でも良いことになっています。

しかし、口頭では言った言わないの水掛け論になる場合もありますし、普通の郵便だと郵便局の誤配達もあるかも知れませんので、確実に相手に配達されたかどうかはわかりません。

また、実際は届いていても、会社が「届いていない、知らない」とシラを切ればこれも水掛け論の世界です。
裁判に訴える事が想定される場合には、証拠が物を言いますので、内容証明郵便を使うのが良いでしょう。

時効が問題となる場合には、内容証明郵便で「この間の残業手当として●●●万円を、何時までに、どんな方法で支払え」と請求しておきます。
それから会社側と交渉し、解決すれば良し、解決しなければ6箇月以内に裁判に訴えることにより、時効を中断させることができます。