労働審判制度は、実効ある解決を図る制度として期待されています。


最高裁がまとめた資料によると、終結した事件778件のうち調停で解決した件数は538件(69.2%)、審判となった事件は146件(18.8%)となっています。

審判を不服として異議申立てがなされた件数は90件です。
83%が調停又は審判で解決していることになっており、かなりの高率で解決しているのではないかと思われます。

労働委員会が行うのも含め、あっせん制度は言わば任意性に任されています。

労働者(経営者が申立てる場合も)が申立てをしても、経営者が「あっせんには応じない」態度をとれば、それで打ちきりとなります。
あっせんに応じても、事の当不当に関わりなく経営者(労働者の場合もあります)が頑迷な姿勢をとり続ければ、打切りや不調となります。

民事訴訟は、結論が勝ちか負けるかしかないために、不服であれば上級審で争うことになるのでしょう。

その点、労働審判は先に述べた柔軟な解決が図れるために、「完全とまではいかないが、まあこの程度なら、争い続けるより解決しても良い」と考える余地があるのです。

労働審判委員会が提案する調停案は、「権利関係を踏まえた」内容となりますので、調停案での解決ができなかった場合の審判内容は、ほぼ調停案にそった内容となる場合が多いと想定されます。