労働審判制度が発足する以前から、個別労使紛争を解決する制度が存在します。

各都道府県に所在する労働局が行うものとして、

労働局長の助言及び指導
あっせん委員会によるあっせん

などがあり、また各都道府県労働委員会でもそれまでの集団的労使紛争に加えて、個別労使紛争も行えるようになりました。
そのため、労働委員会でも、あっせんを行っています。

これらの手続きは、「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づいて行われています。

これらの手続きの特徴は、手軽に利用できることで。
無料ですので、あっせん等にかかるお金は必要ありません。

しかし、労働者があっせんを申請した時に、使用者があっせんに応じるかどうかは任意にまかされています。
使用者があっせんの手続きを拒否すれば、それで終わりです。

また、あっせんに応じたとしても、合意点が得られなければ打ち切りとなって、手続きは終了します。

打ち切りとなった場合、申請者が打ち切りの通知を受け取った日から、30日以内に裁判所に訴えた場合、あっせんを申請した日に訴えが提起されたもとの見なされます。
つまり、時効が中断されることになります。

それに対して、労働審判は強制力をもっています。

裁判所からの呼び出しを受けた関係人が、正当な理由がなく出頭しない場合には、「5万円以下の過料に処する」(労働審判法31条)とされています。

また、訴えに反論がないものとみなされ、労働審判が行われる場合もあります。審判は裁判上の和解と同じ効力を持っています。和解は判決と同じ効力をもちますので、結局、確定した審判は判決と同様に効力を持つとされます。

審判に異議申立があった場合、審判は効力を失い、労働審判の申立てがあった日に、訴えが適されたものとして取り扱われます。

スピード解説手軽に使える労働審判制度―速くて納得の労働トラブル解決法