原則として3回で結論を出す、労働審判の実際の進行はどうなるのでしょうか。

労働審判を経験した組合員などの情報をもとに構成すれば、おおよそ次のようになります。

第一回の審判では、審判委員会が申立人(訴えた側で、通常の裁判では原告と呼ばれます)と相手方(訴えられた側で、通常の裁判では被告と呼ばれます)、双方の主張を聴取して争点を整理し、調停(通常の裁判では和解と呼ばれます)の方向性を示します。

第二回審判では、第一回に提示した調停の方向性に沿って検討結果を聞き、調整のうえで調停案を示します。この段階で、調停が整い、終結する場合もあります。

第三回審判では、第二回審判で調停にいたらなかった場合、審判委員会は、引き続き調停を試みます。
調停が困難な場合、審判委員会は審判(通常の裁判では判決と呼ばれます)を言い渡します。

 通常の裁判であれば、最終弁論か終了すると、判決日を指定して次回に判決となります。裁判官はそれまでに判決書を準備しなければなりません。
労働審判の場合は、迅速性が求められていますので、口頭でも審判を告げることができますので、三回で終わることになります。

ただし、必ずしも前記のような進行がなされるとは限ならいようです。
調停の方向が2回目で示される場合もありますし、3回では終了せずに4回で終了するケースもあります。

このように、スピーディーにすすめるために、労働審判は口頭主義を採用しています。
口頭でのやりとりが主要なものであり、書面を提出する場合でも、口頭での主張を補完する意味として、書面の呼び方も補充書面と呼ばれます。

通常の裁判は、言わば書面主義ですので、主張はすべて準備書面にしなければなりません。その点は労働審判と通常の裁判が大きく異なる点となっています。

したがって、代理人がつかない場合は、審判期日の前によく準備し、緊張しすぎず、リラックスして、受け答えがしっかりできるかどうかがポイントです。