雑誌「経済」12月号に興味深い論文が掲載されています。野中郁江明治大学教授が執筆している「富と貧困の累積を描く付加価値分析」がそれです。
野中教授の研究は、財務省の法人企業統計を分析して剰余価値率を算出しています。
結論部分だけ紹介しますと、
1996年の剰余価値率は61%、2016年は71%となり、剰余価値率は上昇しています。
剰余価値は、自分が受け取る賃金の価値を超えて、新たに生み出した価値を指しますので、日本の労働者は自分たちが受け取る賃金の1996では61%、2016年では71%の額に相当する「不払い労働」を行っていることになります。
剰余価値率は、自分の給料を稼ぎ出すために働く労働時間(必要労働時間)と、それ以外の内部留保などを生み出すために費やす労働時間(剰余労働時間)の比率に置き換えることができます。
もう少し分かりやすく解説を試みると、次のように言うこともできます。
盆も正月もなく、国民の祝日も休みなく、一日8時間、週40時間労働制で働く労働者の月平均労働時間は173.8時間になります。
端数があると面倒ですから端数を調整して、月平均171時間時間働く労働者の例で考えてみましょう。
この労働者は、1か月に働く171時間のうち100時間は自分の給料を稼ぐために働き、他の71時間は株主配当や役員報酬、内部留保などを生み出すために働いているということになります。
71時間は概ね9日になりますから、結構な時間です。
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労働運動の場面でよく使用される労働分配率は1996年は62.1%、2016年は58.9%で3.4ポイント低下しています。
労働分配率とは企業(労働者がという言い方が正しいのですが)が新たに生み出した価値(付加価値)のうち、労働者の人件費にいくら配分されているかを示す数値です。
労働分配率が下がれば、その分どこかが分配率が上がります。
分配率が上がっているのは、株主配当金がプラス5.2ポイント(1.5%から6.7%へ)、内部留保がプラス6.7ポイント(-1.9%から4.8%へ)となっています。
株主資本主義の面目躍如というところでしょうか。
労働者は給料上げるためにがんばろう!
そのためにも、労働組合に結集しよう!
憲法第28条で「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」という宝物が保障されているのですから、宝の持ち腐れは損だと思います。
よし、頑張ってみよう!
と思われる方は、全労連の労働相談ダイヤル 0120-378-060 までお気軽にご連絡ください。
お近くの全労連加盟組合につながります。