観光協会が市に提出した要望書

10月末で雇い止めされることになっていた普天間市民駐車場で働くユニオン組合員の雇用問題は、10月31日の午後6時過ぎに、駐車場を管理運営する宜野湾市観光振興協会から「11月1日から新たに雇用を開始する」との連絡があり、一応の解決を見ることとなりました。

一体何のために、観光振興協会と宜野湾市は機械化(自動精算機の設置)を推し進めようとしているのか、宜野湾市議会における桃原功議員の一般質問と、それに対する松川正則宜野湾市長と市民経済部長の答弁を材料にして振り返ってみます。

10月21日の宜野湾市議会一般質問で、桃原功議員は、一般社団法人宜野湾観光協会が宜野湾市からの委託を受けて、管理運営している普天間駐車場での雇い止め問題について宜野湾市の対応を質しました。

2022/10/21 宜野湾市議会における桃原功議員の質疑(youtubuに移動します)

質疑の最後の部分を文字にすると下記のとおりです。

(桃原功議員)
双方(観光振興協会と従業員)の意見を確認すべきなんですよ。

(市民経済部長)
本年4月より市民サービスの拡大を図るため、駐車場の24時間営業を行っており、駐車場の利用者がいつでも車の出し入れが可能になっております。これに合わせて駐車料金の支払いを機械化することによって、機械の管理会社に現金の管理を任せることができ、釣り銭のトラブルなどの低減できるため、観光振興協会の管理運営にかかる事務負担の軽減にもつながることから、市としては24時間営業及び自動精算機の設置について承認し、進めているところでございます。
観光振興協会へは、24時間営業が可能な従業員体制を整えることや従業員の方々への丁寧な対応をお願いしており、今後も安全な管理運営を行っていただけるよう助言を行ってまいりたいと考えております

松川正則市長
この事は普天間市民駐車場、精算機、24時間営業にするという話を頂いた時、私は市民広場のこともありましたので、流れとしては致し方ないのかなと考えました。やはり、このコロナ禍の対策もありますけど、市民広場は桃原議員もご存知のとおり、10年来警備会社に約3名ですかね、委託をしまして年間1000万かかった状況でありました。それを何とかできないかという事で機械化に持っていきまして、これ桃原議員からもずっと指摘がありました。予算の段階でもですね。そのことを何とかしたいということで、普天間基地の司令官としっかり交渉して、現在機械化で年間の維持費が100万円程度で済んでいると。10分の1になっております。ですから、やはりどういう形で取り組んだ方がいいのか、合理性もありますしコロナの対策からも今回の普天間市民駐車場の精算、24時間体制というのはこれは、当然とってしかるべきではないかという考えであります。コロナの関係もありますが、やはりそこはしっかり観光協会が事前の7か月も前から説明もしておりますし、当然本人にもご理解をいただけるものと私としては考えております。

まず、事実関係について、指摘しておきます。

市民経済部長は「従業員の方々への丁寧な対応をお願いしており」と答弁しています。

松川市長は「観光協会が事前の7か月も前から説明もしておりますし、当然本人にもご理解をいただけるものと私としては考えております。」と答弁しています。

松川市長が述べている「7か月も前から説明もしております」は、3月の雇用契約更新時を指していると思われますが、雇用契約更新時において、従業員が観光協会から知らされているのは「4月から24時間営業となること」「雇用期間が4月から7月」の7か月となっているという事だけです。質疑がなされた10月21日現在において、24時間営業の理由について、従業員への説明はなく、ましてや自動精算機を導入して人を減らす」などとの話は一切観光協会からの説明はありません。

市民経済部長は「(観光振興協会へは)従業員の方々への丁寧な対応をお願いしており」と、答弁していますが、上記のとおりですから、「丁寧な対応」どころか、従業員には秘密のままに事を進めてきたのが観光振興協会です。

宜野湾市が本当に「定年な対応」を求めてきたのであれば、観光振興協会は宜野湾市からのお願いをも無視してきたということになります。

アップした画像は、3月16日付で宜野湾市長宛に提出された観光振興協会からの「要望書」です。この要望書には、24時間営業と機械化(自動精算機の設置)の理由について、市民サービスとコロナ対策は記載されていますが、お金のことは一切ありません。

それにも関わらず、なぜ、松川市長は「コロナ禍の対策もありますけど、やはり市民広場・・・」と市民駐車場を例を持ち出して、警備会社に委託したら約3人分の経費が1000万円かかったのに、機械化すると100万円になったと答弁するのでしょうか。

私は、「△△もあるけど、◯◯が」と言う場合、△より◯を強調する言い方だと理解しています。

市民広場の管理にかかる費用は宜野湾市の持ち出しとなっていても、普天間市民駐車場は有料で営業しており、その利益は観光振興協会が全額「協会管理費」という名目で吸い上げています。利益を挙げている状況で、機械化して人員を削減すれば、観光振興協会の儲けがさらに増えることになり、そうすることが観光振興協会と宜野湾市の真の狙いだということを明け透けに語っていると理解します。

「コロナ対策」を名目としているのは、自動精算機設置の許可権限を持っている普天間航空基地司令官に対して「もっと利益を上げるため」とは言えないから、「コロナ対策」として通りを良くするためでしょう。

自動精算機の設置は、11月から来年2月に設置時期がずれたようですが、再び人員削減がぶり返さない保障はありません。

今後も予断を許さない状況が続きそうです。