去る5月3日の憲法記念日に開催された、憲法講演会で採択された憲法宣言は、多くの沖縄県民の心情を反映していると思われるため、できるだけ多くの方の目に触れて貰いたいと考え掲載させていただきます。

2014 憲法宣言

-私たちは「戦争をする国」を拒否し「9条の希望」を選びます-

 いま私たちは大きな犠牲を払って得た平和憲法を、子どもたちに弓|き渡せるかどうかの瀬戸際にいます。

 今日5月3日、日本国憲法は施行から67年、私たちの住む沖縄に適用されてから42年目を迎えます。沖縄では、米軍統治下の四半世紀は平和憲法が適用されず、平和は脅かされ、幾多の人権侵害があり、自治権も「神話」とされてきました。私たちにとって復帰とは「平和憲法の下への復帰」を意味し、平和な生活、人権の保障、自治権の回復が認められることにもなるはずでした。戦争を放棄し、戦力の不保持を定める憲法9条は、平和を愛する私たち沖縄県民にとって待ちこがれていた宝物といえるものでした。
 しかし、復帰後も広大な米軍墓地が維持されることになり、依然として沖縄県民の平和な生活は破壊され、人権侵害は頻繁に起こり、自治権もないがしろにされた状態です。

 そして今や安倍政権は、集団的自衛権の行使は憲法9条に反するので許されない、としてきたこれまでの政府解釈を変更しようとさえしています。集団的自衛権は、同盟国などが攻撃を受けた際に、第三者である日本が、これらの国を攻撃した国に反撃するという権利とされています。このような集団的自衛権の行使が、戦争放棄と戦力不保持を定める日本国憲法9条の解釈上、許されているというのです。
 しかし、日本は、自らが侵略されたのでもないにもかかわらず、「自存自衛」のためと称して遂行したアジア太平洋戦争によって多大な被害を生じさせた歴史をもっています。その反省の下に制定された平和憲法の戦争放棄の理念にのっとれば、明らかに集団的自衛権の行使は認められません。
 69年前、ここ沖縄の島々は、戦争に巻き込まれ、多くの尊い命が犠牲になりました。このような悲惨な戦争経験を持つ沖縄住民の「戦争は二度とごめんだ」という声にもかかわらず、米軍の要塞と化し、文字通り「基地の島」に作りあげられました。そして現在も、強行配備されたMV22オスプレイなどが、昼夜を問わずすさまじい音を立てて上空を飛びかい、辺野古、高江、与那国では新基地建設が強行されようとしています。集団的自衛権を行使したら沖縄も犠牲になります。

 「基地の島」であり続けた沖縄に平和の種をまき、「平和な島」へと変えていきましょう。
 わたしたちがあきらめるのを待っている人がいます。国民が忘れることを待っている人がいます。けれどわたしたちはあきらめません。
 そして、世界の人たちに伝えます。
 日本が再び海外で戦争をする国にさせないことを、そして、この沖縄を変え、沖縄から「武力によらない平和」を発信していくことを。

2014年5月3日     2014憲法講演会