去る1月26日付琉球新報に「陸自庁舎工事で法令違反 自家用車で有償運送」の見出しで、「有償で運送できない自家用(白ナンバー)のトラックが貨物を有償で運送したとする貨物自動車運送事業法違反」との記事を掲載された。

翌27日には、沖縄タイムスが「陸自隊舎工事違反相次ぐ 自家用車で有償運送」の見出しで、「陸自隊舎新設工事で、複数の法令違反があったことが分かった。自家用(白ナンバー)トラックによる有償運送や、・・・」と報道している。

これらの記事は、白ナンバートラック(記事の写真はダンプカー)が有償で土砂等を運ぶのはすべて違法との誤解を読者に与えかねない内容である。

これらの記事内容については、両社から続報が出されることを期待しているので軽く言及するにとどめ、大工さんの事例を参考にしつつ考えてみることにする。

内装を扱う大工さんに限った話ではないが、ここでは内装の大工さんと仮定して話をすすめる。

大工さんは、仕事で使うハンマー、ノコギリ、ノミ、カンナ、墨壺などの大工道具は自分で購入し、手入れを入念にして、手に馴染む道具にしていく。

このような大工さんは、工事を請け負った会社(元請会社か下請会社かは問題ではない)に雇われ、道具持ち労働者として働く場合もある。他方、会社から内装工事を請け負い、自ら事業主として働く場合もある。こうした実態からすると「大工さんは労働者だ」ということも、「大工さんは請負業者だ」と一括りにして論じることは適切ではないと言える。どれに該当するかはケースバイケースで判断される。

ダンプカーに当てはめて考えれば、大工さんの道具がダンプカーに該当し、労働者として働く場合は「ダンプ持ち労働者」や「傭車運転手」と呼ばれたりする。

ダンプ持ち労働者が自ら所有するダンプを持ち込んで、砕石所から砂利を運んでも、建設現場から残土を運んだとしても、労働者性を有しておれば違法とは言えない。したがって、白ナンバーダンプといっても一括りできるものではなく、違法かどうかはケースバイケースで労働者生の有無が判断されることになる。

仮に、山元と運送契約を結び、契約の形としては事業者とされている場合でも、必ずしも事業主とは言えずに労働者だと判断される場合もある。使用従属関係の有無、諾否の自由の有無、代替性の有無、運賃(賃金)の支払いが労務の対価と言えるかどうか、等々によって労働者性が判断される。

労働基準法でも労働者か請負かは、契約書の名称によらず労働の実態で判断される。

1994年当時の運輸省見解は、「白ナンバーが違法かどうかはケースバイケースでの判断であり、白ナンバー=違法ではない。ダンプ持ち労働者ということであれば、堂々と仕事を続けてほしい。」というものである。すなわり、「労働者が所有する白ナンバーダンプを使用して仕事をしても違法ではない」と認めている。

私も、自衛隊の増強には反対の立場ではあるが、事は陸自庁舎に関係する白ナンバーダンプだけでなく、多くの白ナンバーダンプの仕事と生活に大きく影響するだけに、「白ナンバーダンプ=違法」との捉え方は誤解であることだけは知ってもらいたいと願うものである。