大阪地裁は3月3日、「名ばかり管理職」であった男性の労災給付額を算定するにあたって、支給済みの賃金だけをもとに決定した国の処分を取り消しました。

原告の男性は、建築設備メーカーの「専任課長」と呼ばれるポストに就いていた時に脳卒中で倒れ、過労で労災認定されました。しかし、「専任課長」には残業代が支給されない名ばかり管理職であり、本来支給されなければならない残業代も労災給付額を決定するにあたっては加算すべきと訴えた事案です。

この判決に重要な点は、①このメーカーにおける「専任課長」が、残業代の支給を要しない管理監督者であったかどうか、②実際には支給されてこなかった残業代が、労災給付額の決定に際して加算が認められるのか、というところにあるかと考えます。

報道の限りでは、あまり詳しくはわかりませんが、管理監督者ではないという理由に、部下への人事権がなかった点を指摘しているようです。

実際には支給されていなくても、請求権があれば労災給付額に加算されるという大阪地裁の判決は、今後の運動に活用できるでしょう。