休憩時間とは、単に仕事をしていない時間ではなく、使用者の指揮命令下から離脱し、自由に使用できる時間です。と言っても、帰宅後や出勤前の時間ではありませんよ。
逆に言えば、労働時間とは単に仕事をしていない状態にある時間があったとしても、使用者の指揮命令下に置かれており、いつでも仕事ができるように待機している場合は、「手待ち時間」として労働時間にカウントされ、賃金の支払い対象となります。
(1)運送業に従事する労働者がお得意様のスーパーに納品に行った際、すでに他社のトラックが並んでおり、自分の番が来るまで多少の時間待っていた時間。
(2)お店の店員さんが、お客が途切れて次のお客さんを待っている間の時間。
(3)お昼の休憩時間に事務所の電話当番を命じられ、電話番をしていた場合、実際に電話があったかどうかにかかわりなく、その時間。
などは休憩時間ではなく、労働時間です。
忙しい職場で、休憩時間をきちんと決めることなく、「自分で判断して休憩時間をとるように言っておいたので、休憩をとらない方が悪い」などと主張する経営者がいますが、こんなことでは休憩時間を与えたことにはなりません。
「休憩時間をとらなかったのは自分も悪い」と感じることはありません。
労働基準法(労基法)第34条は「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」と定めているのですから、「自分で判断しろ」では、与えたことにはなりません。
ちなみに、この労働基準法(労基法)第34条から、「労働時間が6時間を超えない場合には、休憩時間を与えることを必要としない」とも言えます。