5月21日は、横浜地裁で第4次厚木騒音訴訟、福井地裁では大飯原発運転差し止め訴訟の判決がでて、翌22日の新聞紙面は両訴訟の判決に関する記事が紙面を飾っていた。
同じ5月21日に、那覇地裁では米軍基地労働者の年次有給休暇に関する訴訟の判決が出された。
那覇地裁は国に約205万円の支払いと、同額の付加金の支払いを命じた。
原告は全駐労沖縄地区本部に所属する労働者176人である。
この訴訟の争点は、付加金が認められるかどうかであったが、那覇地裁は原告の主張を認容した。
事の概要は次のようなものである。
米軍基地内で食堂や売店などを運営するエクスチェンジサービスが、定年した労働者を再雇用する際にパートタイマーとする制度の導入に反対し、全駐労は2007年7月13日に24時間ストライキを決行した。
米軍は、7月13日に年次有給休暇を行使した申請した労働者年休を認めず、年休でストライキの支援を行った者、また、ストライキとは関係なく私用のために年休を行使した者に対しても、賃金をカットした。
原告らは、賃金カットは違法であるとして賃金の支払いと労働基準法第114条に基づく付加金の支払いを求めた。
年次有給休暇の使用目的は自由であり、例えそればストライキの支援のためであっても、それは許される。
昭和48年3月2日最高裁第2小法廷は、白石営林署事件判決で「他の事業場における争議行為等に休暇中の労働者が参加したか否かは、なんら当該年次有給休暇の成否に影響するところはない」と判示しているから、賃金支払いを命じた那覇地裁の判断は妥当である。
本件訴訟の焦点は、付加金の請求に裁判所がどのように判断するかであった。
原告らは国に雇用されているが、使用者は米軍である。
被告である国は「従業員の勤怠記録は米軍が作成しており、『独自の判断で支払えない』」などと主張した(22日付沖縄タイムス)が、裁判所はこれを退けている。
この点で裁判所は「被告(国)と在日米軍は、いわば雇用主としての権利義務を分掌しているものと見ることができるから、両者を併せて制裁の対象ととらえることができる。」と指摘している。
国内法が適用されない基地内の職場の矛盾と、それを放置してきた国への警鐘といえる今回の判決を契機に、国は控訴することなく、国内法が適用される職場として生まれ変わるよう政府には努力してもらいたいものである。
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