1990年12月15日付のしんぶん赤旗に標記の見出して記事が掲載されている。
サブ見出しは「過労死を米ABCテレビが報道」である。
記事の概要は次のようなものである。
日本の企業は、従業員を過重な労働で静かに殺している・・・」
アメリカの三大放送網の一つABCテレビが放送した過労死特集「リッチ・ジャパン、プアー・ジャパン」は、日本の過労死をこう表現し、報道しました。
同番組は広告代理店で働き過労死した八木俊亜さんの妻、光恵さん、脳いっけつで倒れ闘病生活が5年にもなるIさん、大手商社マンのM氏、労働省の担当官らが登場。野村証券へのデモも取材しています。
夫ののこした腕時計を手に光恵さんはABCテレビで語っています。「腕時計のアラームを主人は常に午後11時にセットしていました。終電車に間に合うようにしていたのです。
<記事の紹介おわり>
八木光恵さんが著した「さよならも言わないで~『過労死』したクリエーターの妻の記録」(1991年発行・双葉社)を読んだが、胸を締め付けられる思いだった。
この本のあとがきにも、ABC放送の件について触れた箇所がある。
ABC放送は続報を流したようである。
この記事から26年経ったが、「日本企業は、従業員を静かに殺している」状況が、どれだけ改善しているのだろうか。
過労死・過労自死が後を絶たない異常な社会が続いている。
この国から過労死・過労自死という言葉が死語となる時はくるのだろうか?
電通の高橋まつりさんの過労自死を契機に、世論が大きく沸き立っているが、これを一過性のものにしてはならないだろう。
それにしても、多くの人が死ななければ動かない国というのはどんな国なんだ。
どれだけまったらかのうのか 僕たちの願い
どれだけ待ったら会えるのか 真っ白な鳩に
どれだけ待ったら止まるのか 流れる涙
まるで、ボブ・ディランの唄う「風に吹かれて」の世界じゃないか。
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