会社に残業代を請求したいと相談に訪れる方で、「月173.8時間を超えると残業になると教えてもらったので、自分の残業時間は●●時間です。」とおっしゃる方がいます。

月173.8時間を超えると残業になるというのは、正しい時もありますが、正しくない時もあります。

まず、173.8時間という数値は、週40時間という法定労働時間を基準として導き出された一月平均の時間数だという点を理解することが大事になってきます。

具体的には、173.8という数値は次のような計算で導きだされます。

365日÷7日×40時間÷12か月=173.8時間です。
 365日÷7日=1年365日を7日で割れば、1年の週数となります。
 365日÷7日×40=1年の週数に法定週労働時間の40時間をかけると、年間の労働時間数になります。
 最後に年間の労働時間数を12カ月で割れば、一月の平均法定労働時間になります。

 では、次のような場合にはどうなるのでしょうか。

① 経営者(上司でも)から「お前は昨日1時間残業したから、今日は1時間早く帰って良い」と言われて、1時間早く退社したとすると、昨日の残業1時間が今日の穴埋めになってしまい、実際の労働時間は週40時間を超えていないことになり、1時間の残業時間が消えてしまします。

② 週のうち4日は2時間ずつ計8時間残業したので、国民の祝日が1日あったために、8時間の残業時間が祝日分に穴埋めされてしまって、実際の労働時間は40時間となり、8時間の残業時間が消えてしまいます。

 労基法は、1日8時間を超えた時間、週40時間を超えた時間を残業とするものですから、①のケースでは残業時間は1時間ですし、②のケースでは8時間ということになります。

上記の例は、わかりやすいように週の時間を当てはめて考えましたが、一月に引き直して考えても、事情は同じです。

また、173.8時間は平均の数値ですから、月によって実際の就労日は変わるのですから、実際に173.8時間働いた月であっても、そのうち何時間かは残業時間になっている月もあるでしょう。

現実的な問題として、タイムカードなどの記録がなく、「少なくとも、概ね一日あたり●時間は残業していた」と主張して大雑把な計算で残業代を算出し、「月173.8時間を超えている部分が残業時間」とするしかない場合もありますが、タイムカードなどがあれが、1日8時間を超えた時間と週40時間を超えた部分を計算して合計することによって、より正確な残業時間に近づけることに留意することが大事です。

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