多くの自治体では国民健康保険(国保)会計の赤字に苦しみ、一般会計からの繰入を行ったりしています。
一般会計からの繰入が少ない自治体の住民は、高い国保料に喘ぎ「払いたくても払えない」状態に置かれている方も少なくありません。
そうでなくても、国保税は決して安いとは言えません。
2015年(平成27年)3月号となる那覇市の「こくほニュース」によれば、2013年(平成25年)度の那覇市の国保会計は51億円の赤字となっています。(グラフ画像も同「こくほニュース」から)
赤字額も年々増加し、2008年度の14億円が2012年度42億円に増加し、13年度の51億円まで膨れ上がっています。
極端に少ない前期高齢者交付金
国保会計の収入は、国保の被保険者が収める保険税(料)、国・県からの交付金、前期高齢者交付金が上げられます。
前期高齢者とは65歳から74歳までの方です。
この年齢層はそれぞれの状況に応じて、協会けんぽ、共済組合、保険組合などに加入している場合もありますが、多くは国保に加入しています。
年を重ねれば、若年層より医療費がかかるのは当たり前で、国保会計の医療費は増大することになります。
この負担を緩和するために、前期高齢者交付金です。
前期高齢者交付金は、被保険者に占める前期高齢者の比率に応じて決められますが、ここに沖縄特有の事情が存在しています。
前期高齢者の比率が少ないため、全国平均9万6859円に対して、沖縄はわずか2万2032円に過ぎません。
沖縄の次に少ないのは茨城県ですが、それでも6万3618円となっていて、沖縄の3倍弱の金額です。
4人に一人が犠牲になった沖縄戦
沖縄の前期高齢者交付金が、他の都道府県と比べて極端に少ないのは、前期高齢者の数が少ないということになるのですが、問題は、なぜ少ないのかということなのです。
ご承知のとおり、沖縄戦では県民を巻き添えにした地上戦が繰り広げられました。
男女に関わらず高校生まで戦争に駆りだされ、多くの犠牲者をだしました。
徴兵や徴用されなかった住民も戦火に巻き込まれ、県民の4人に一人が犠牲になりました。
この沖縄戦の結果として、現在の前期高齢者の数は少なくなっているのです。
国が起こした戦争の結果が、今日の国保会計に大きな爪痕を残しているのです。
したがって、前期高齢者交付金が他の都道府県と比べて極端に少ないのは、国策の結果であり、国が責任を負うべき問題です。
この問題について、自治6団体で度々政府に要請していますが、なんら回答をしていません。
集団的自衛権を行使して、自衛隊を海外に派兵することだけが、国民の生命・安全を守ることではありません。
国保の問題は、沖縄県民の命と健康に関わる重大問題で、国は早急に是正すべきです。
- 投稿タグ
- 国保