注目の翁長沖縄県知事と安部首相との会談が、本日行われた。

昨年11月に翁長知事が誕生して以来さんざん逃げまわった末に、訪米前に「沖縄の理解を得るよう努力していると、オバマ米大統領にご報告したい思惑から会談を設定した」との報道に見られるように、とても沖縄の声に耳を傾けるという姿勢ではない。

限られた情報ではあるが、会談で安部首相は「普天間の危険性除去は沖縄も同じ思いだ。(辺野古移設が)唯一の解決策だ」と、従来の考えを繰り返し」たという。

相も変わらず口を開けば「普天間の危険性除去」と「辺野古が唯一の解決策」である。
まるで、壊れたテープレコーダーを聞いているようだ。

これまで菅官房長官も同様であるが、沖縄の世論が「普天間の危険性除去」と「辺野古移設反対」に分裂し、辺野古移設に反対する県民は、普天間の固定化を容認していると描き出そうとしてきた。

安部首相は、2013年1月28日に、翁長雄志那覇市長(当時)から建白書を直接受け取っている。
その建白書には「普天間基地の閉鎖・返還、県内移設断念」が記されている。

この二つは対立しているのではなく、両方共県民の共通の願いであるかとは明白である。

県民共通の願いを勝手にねじ曲げ、普天間の危険性を除去するためには辺野古移設ありきと描き出しているのは政府の側である。

ところで、安倍政権は、なぜ「辺野古が唯一の解決策」なのかという説明が全くできないまま、埋め立て工事だけを強行している。

これまで米軍は何度も普天間からの撤退を検討したこともあるし、「軍事的には沖縄でなくてもいいが、政治的には沖縄」との発言(森本敏防衛大臣)もなされている。

極めて乱暴は言い方をすれば、安部首相の山口県、菅官房長官の神奈川県、中谷防衛大臣の高知県に、海兵隊を一括して移動させれば良い。
住民が反対しようがお構いなし、国の強権を発動して強制収用すれば良いのだ。

沖縄の基地は現在でも、「基地を返せ」と訴えている県民の意思を踏みにじって強制収用している。

もちろん山口県、神奈川県、高知県その他の地方においても許されるものではないが、なぜか沖縄県だけには政府の横暴がまかり通っているのだ。

よく「米軍の抑止力」が言われる。
去る5日の翁長知事と菅官房長官との会談でも、菅官房長官は「 現に昨日も尖閣諸島に公船が侵入してきた。わが国を取り巻く安全保障関係、極めて厳しい中にあって、まさにこの沖縄県民の皆さんの方々を含めて国民を守ることは国の責務だと思う。そうした状況の中で、日米同盟の抑止力の維持と危険除去、こうしたことを考えた時に、辺野古移設というのは唯一の解決策であると政府は考えている。」と述べている。

「中国の公船が侵入してきた」ことを引き合いに出しているが、それなら在沖米軍は全く抑止力を発揮していないことになる。それが辺野古に移設すると抑止力になるという。

もっとも、これまで政府関係者の誰からも、米軍が具体的にどのような抑止力を発揮しているのか、具体的が説明を聞いたことはないのであるが。

安部首相は、せっかく訪米するのだから「沖縄県民の辺野古反対は強い。ラムズフェルド元国防長官も『米軍は歓迎されないところに基地は置かない』と言っていたのだから、沖縄県内に基地を移すのはやめて、別の道を検討し直そう」と掛けあうのが、それこそ唯一の解決策であろう。