3月11日に起きた大地震と津波、原発事故による経済的影響は県経済にも広がっています。

県の調査によれば約3割の企業が震災によって「売り上げが減少し、このような事情を背景に、自宅待機や労働時間の削減という形で労働者にそのしわ寄せを押しつける企業の動きが見られます。震災を理由とすれば労働者はその犠牲を甘んじて受け入れなければならないのでしょうか。
 

紙幅の都合で詳しく述べることはできませんが、労働条件を労働者の不利益に変更するには、①労働協約による場合、②就業規則の変更による場合、③労働者個々人の同意を得る場合があり、それらの手続きを経ないまま一方的な不利益変更は許されません。また、休業や労働時間削減に対しては、企業は休業手当を支払わなければなりません。

労働基準法第26条は、事業主の責めに帰すべき事由で労働者が休業した場合、平均賃金の6割以上を支払わなければならないと定めています。また、民法第415条には、労働者は賃金の全額を請求できると定めています。

震災で直接的な被害を蒙った被災地の企業に関しては、事業主の責めに帰すべき事由に該当せず、休業手当を払わなくても良いと考えられますが、直接的被害を受けていない県内企業の場合は、原則として事業主の責めに帰すべき事由と認められず、休業手当の支払い義務が生じます。


この文章は、沖縄民報社の依頼に応じ、600字という制約のもとでまとめたものです。

荒削りの文章ですが、沖縄のみなさん、震災を口実に労働条件の切り下げや賃金の遅れ等がある場合、諦めることなく沖縄県労連にご相談ください。