7月8日に台風8号が沖縄に襲来し、多くの会社が休みとなりました。台風8号は沖縄を過ぎると熊本に上陸に各地に爪痕を残しました。
毎年台風がやってくる沖縄では「台風での休みは休業手当の対象となるのか?」という問題があります。
労働基準法第26条には「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合は、平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。」と定めてられています。
よく「会社から休めて言われたのだから、『休業手当』を出すべきじゃないか?」との相談が寄せられますが、注意しなければいけないのは、休業手当を支払わなければならないのは使用者の責に帰すべき事由による休業であり、使用者の指示による休業ではないことです。
労働者が仕事を休む場合、①労働者に責任がある休み、つまり労働者の都合で休んだ場合、②使用者に責任がある休み、つまり使用者の都合で休まされた場合、③使用者にも労働者にも責任のない休みがあります。
大雑把に言えば、②の時は休業手当の支払義務が使用者に生じ、③の場合は「不可抗力」として生じないということになります。「使用者の責に帰すべき事由」に不可抗力は含まれないのです。
不可抗力とは、①休業の原因が事業の外部によるもの、②事業主がどんなに注意していても避けられないものです。
台風の場合(地震による事業所倒壊などもそうですが)は、自然の営みが原因であり、会社とは関係なく発生します。そしてそれは人間の力では防ぎようもありませんから不可抗力と認められ、労基法上では休業手当を支払う義務は使用者に発生しないことになります。
逆に、暴風が吹き荒れるなかで、使用者が「出勤して働け」などと指示して労働させ、事故が起きて労働者が死傷した場合、使用者は「安全配慮義務」違反に問われる可能性があります。
労基法は最低限の基準を定めた法律であり、労使は「労働条件の向上を図るよう努めなければならない。」(労基法第1条)のですから、台風時の手当を支給するよう要求し交渉することが大事になってきます。
要求し、交渉で解決するためには、労働組合が強い味方になります。労働組合についてのご相談は、全労連の通話料無料 フリーダイヤル 0120-378-060までご連絡下さい。お近くに相談センターにつながります。