雇用契約とは、当事者の一方(労働者)が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方(事業主)がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。

これは民法第623条の条文です。

労働者は働き、経営者は給料を払う約束をして、働き始めるのですから、労働者が働いたのであれば、経営者はお金がないからと、給料を払わなくても良いことにはならず、借金してでも給料を払わなければなりません。

賃金がもらえないと、少なくない労働者が労働基準監督署に駆け込み、あるいは「給料を払わない会社で働けるか!!」と、辞めていくことになります。

これまで、給料日にはきちんと支払われていた給料が、遅れたり、分割払いになったりする場合がありますが、これには、二通りのケースが考えられます。

多くの場合、資金繰りが厳しくなって、労働者に給料を払うお金さえない、という場合。

労働者の生活には無頓着な社長であったり、社長自身は会社のお金を浪費していながら、労働者には意図的に給料を支払わない場合

ある居酒屋の実際のケースでは、意図的に労働者に給料を払わず、給料がもらえなくて労働者が次々に辞めていく分を、これまた次々に補充し、人件費をほとんど支出しないという例もありました。

このような、お金があっても払わないという経営者は論外としても、前者の場合には、賃金未払いは倒産の第一歩と考え、その時点で対応策を考えることが、損害を最小限に抑えることにつながります。

社長や経理担当者が頻繁に相談している。

社長や役員があわただしく動き回っている。

見知らぬ連中が会社に出入りするようになった。

などの兆候が見られる場合は、かなり要注意といえるでしょう。

いざという時のために証拠となる資料を収集・保存することが大事です。

そして、何よりも大事なことは、労働者がバラバラに対応しようとして限界がありますので、集団的に対応することを考え、労働組合の結成をすすめましょう。