労働基準法第39条は、年次有給休暇(年休)に関して、次のように定めています。
使用者は、その雇い入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
雇い入れの日から起算するとなっていますので、例えば4月1日に採用された労働者は、6箇月後の10月1日には、10労働日の年次有給休暇が発生することになります。
しかし、企業は必ずしも年に一度、決まった日に労働者を採用するわけではありません。中途採用も含めて、年の途中に採用することが通常です。
従業員が少ない場合はまだ良いのですが、従業員が多い企業では、一人ひとりの基準日を把握するには、かなりの煩雑さがつきまといます。
そのため、事務処理を合理化するために、統一的に基準日を設定する方が、合理的と言える場合があります。
統一した基準日を設ける場合であっても、「雇い入れの日から6箇月」という条件を満たさなければならないことは言うまでもありません。
例えば、4月1日と10月1日を基準日として統一し、4月1日から9月30日までの間に採用した者は10月1日に年次有給休暇が10日発生し、10月1日から3月31日までの間に採用した者は4月1日に年次有給休暇が発生するように取り扱うことです。
このような場合に、9月30日に採用された労働者は翌日から年次有給休暇が発生することになります。
「入社して翌日から年休があるのは、いくら何でも早すぎるので、4月1日からの発生にしてくれ」ということになると、わずか1日ではあっても「雇い入れの日から6箇月」という条件に違反してしまいます。
このような場合、他の労働者とのバランスが考え、企業によっては、比例付与などの工夫を行っているところもあります。
この問題に関する通達は、平成6年1月4日基発第1号の5、(3)があります。