残業時間を一日単位で15分以内切捨て、30分未満切捨てなどで残業時間を短く見せかけ、残業代を払わない企業が結構あります。

労働者も「その程度であれば」と、あまり気にしない方もいますが、このような「端数」も、1か月や1年で集計すれば、案外と大きな金額になります。

残業時間の端数はどのように計算するのが正しいのでしょうか。
その答えは労働基準法第37条に書いてあります。

労基法第37条は「使用者が、第33条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働をさせた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上の(略)割増賃金を支払わなければならない。」と定めています。

この条文から言えば、労働時間を延長したその時間について割増賃金を支払わなければなりませんので、理屈としてはたとえ1分でも残業した場合には、割増賃金を支払う義務があります。

したがって、賃金計算期間内の残業時間を1か月単位で集計し、その残業時間に時間額と割増率を乗じて、1か月分の残業代を計算することになります。

労働省(現厚生労働省)は、昭和63・3・14基発150号(労働基準局長名で出す通達)で、事務の煩雑さを避けるために、「その月における時間外、休日または深夜の総労働時間数に30分未満の端数がある場合は切捨て、30分以上の端数がある場合には切り上げる」ことも、違反として取り扱わないとしています。

ちなみに、この昭和63・3・14基発150号では、割増賃金の合計額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満を切捨て、50銭以上1円未満は切り上げる処理をすることとしています。
月給制で1時間あたりの賃金額を算出する場合でも同じ取り扱いです。

自分の残業時間・割増賃金が正しく計算されているか、たまにはチェックしてみましょう。