3月は僅かな休業手当、4月からはゼロ、それでも社会保険料は変わらず

北海道の観光バス会社であるA社が、沖縄の観光需要を当て込んで、沖縄のバス会社を買収して進出してきました。この会社をO社とします。

享年までは良かったのですが、コロナ感染で真っ先にあおりを受けたのは観光バス業界です。

この会社も2月下旬から休業せざるを得なくなりました。

休業に乗じて賃金体系を変更し、月給制から時給制に変え、額も大幅に切り下げてきました。その額は北海道の最低賃金レベルです。

それに納得できない一人の労働者が異議を唱え、うまんちゅユニオンに加入して団体交渉を申し入れたところ、A社とO社の代表を兼ねる社長は、労働者に北海道のA社への出向を命じました。

全国に先駆けて、北海道で新型コロナウイルスの感染が拡大していたその時期です。

業務上の必要性もあるとは思えないし、組合活動を抑え込もうとする不順な動機(不当労働行為)だと感じたが、要求を出して団交の開催を求めていることでもあり、交渉で決着が図られるまで返事を保留すると意思表示をしてきました。

ところが、会社は4月1日から出向しなければ欠勤として取り扱い、賃金を支給しないと通告してきました。

欠勤が怖くて労働者がやってられるか!

と啖呵を切ったわけではありませんが、出向に応じるわけには行きません。

会社は、通告どおり賃金(休業手当)を支払わなくなりました。

社会保険料負担を上回る利益がある!?

ところが、現在に至ってもなお、会社は仕事があった時と同じ額の社会保険料を「会社が立替えているから払え!」と、毎月請求してくるのです。

しかも、社内の共用LINEで、さらし者にしようとして入るのでしょう。

不思議ですよね。社会保険料は労働者と同額を会社も払うのです。

コロナ特例で、社会保険の月額変更は従来の3か月から翌月になっているのに、それもしないで会社も負担して入るのです。

休業真最中の4月から6月までの賃金で9月からの社会保険料を算定する算定基礎届を経た後にも、同額を請求してくるのですから。

私が経営者の立場であったら、4月には月額変更の手続きをして、会社からの持ち出しを減らすことを考えるのですが、O社はそれをセずに、次額変更届けも従来の賃金を支払っていたと虚偽の届けをしているのであれば、社会保険料の負担を上回る何らかの利益がなければなりません。

おおよその見当はついているのですが、それを開陳するのは、裁判所に「訴状に代わる準備書面」を提出したあとにします。

たたかいは本裁判に

①出向命令は無効であるから賃金を払え!

②「ハンドル時間が労働時間」として残業代を支払わないのは違法であるから、残業代を払え!

と労働審判を申立てたのですが、那覇地裁の労働審判委員会は、①には全く触れず、②では、労働者が主張する額と大きく乖離のある会社主張の残業代を支払えとの審判となったことから、即刻異議を申し立て本訴で争うことになりました。

労働審判では異議申立てが出された時は、審判は無効となり、労働審判を申し立てた日に、裁判を提起したとみなされます。そのため、訴状を改めて出すのではなく、訴状に代わる準備書面を出すことになります。

労働者の困った は、全労連のフリーダイヤル0120-378-060へ