初めの一歩は地位保全等仮処分命令申立書を裁判所に提出する

地位保全の仮処分手続きは、裁判所に地位保全等仮処分命令申立書を提出することによって始まります。
解雇事件の場合は、申立の趣旨として、


 1 債権者が債務者の労働契約上の権利を有する地位にあることを仮に定める
 2 債務者は、債権者に対し、●●年●月●日から本案判決確定に至るまで、毎月●日限り●●万●●●●円を仮に支払え。
 との裁判を求める。


と、このようになります。
注1)債権者とは訴える労働者、債務者とは会社を指します。
注2)「●●年●月●日から」には、解雇されて賃金が支払われなくなった日を指定します。
注3)「毎次●日限り」には、賃金支払い日を、「●●万●●●●円」には、支給されていた賃金の平均額を記載します。
注4)一時金(賞与)が支払われたいた場合は、、2に一時金の支払日と金額を追加して記載します。

債権者が病気で通院中であったりする場合には、
 3 債権者が社会保険の被保険者としての地位にあることを仮に定める
ことを求める場合もあります。

賃金仮払いとの関係で、債権者は家計表を提出しなければなりません。
私の家計は、私が解雇されて収入がなくなったので、こんなに苦しくなりました。だから、賃金の仮払いを認めてください、と主張する訳です。
この家計表は審尋の途中で出すこともできます。

裁判所にもよりますが、申立からおおよそ1月内外で、第1回の審尋期日が入ってきます。
通常は、審尋の1週間前あたりで債務者から裁判所経由で答弁書が届きます。
しかし、審尋期日まで出されない場合も時にはあったりします。

仮処分手続きは原則非公開となっています

審尋は、公開の法廷ではなされません。
原則非公開とされている手続きですので、ラウンドテーブルです。
原則非公開ですが、債務者と裁判官が了解して傍聴することができる場合がありますので、労働組合がかかわってきた場合は傍聴希望を裁判所に伝えておきましょう。

楕円形のテーブルの狭い方に裁判官が座り、長い方に債権者と債務者が座るイメージで考えてください。
その後の進行については、労働審判とほとんど一緒です。

証人調べもありませんから、裁判官は書面での主張と疎明資料で決定を導き出さなければなりません。
当然、和解の話しも出てきます。
それを受けるかどうかは貴方次第です。

仮処分に要する時間は一概には言えませんが、申立から大体は3か月程度でしょう。
裁判所の夏休みとの関係などもあって6か月かかった事件もありましたが、こんなにかかるのは例外の方だと思います。