11月16日の沖縄県知事選挙にあたり、県政野党は「基本姿勢および組織協定(案)」のなかに、知事選挙の最大の争点となる辺野古への米軍基地建設について「新しい知事は埋め立て承認を撤回します。」との文言を明記していました。

この文言は、翁長氏側との調整を経て「新しい知事は埋立て承認撤回を求める県民の声を尊重し、辺野古新基地は造らせません。」との文言に変わりました。

それをとらえて、自民党はさっそく「基本姿勢は明らかに後退だ。ついにほころびが出てきた」などとコメントしています(7月26日付沖縄タイムス)。

9月24日に出馬表明を行った喜納昌吉民主党県連代表は「辺野古撤回を明確に提言する候補者がいない」と述べています。

翁長雄志氏の13日の出馬表明を報道した産経新聞は、「翁長氏『辺野古移設阻止』具体策語らず」との見出しで、「報道陣からは移設を阻止するための具体的な方策を尋ねる質問が相次いだが、一切明らかにしなかった。」と報道しています。

このような報道に接していると、翁長雄志氏が仲井真知事による埋め立て承認を撤回することに消極的であるかのような印象をもってしまう方もいるかと思います。

そこで、これまでの翁長雄志氏の発言をいくつか紹介してみます。

9月13日の出馬表明記者会見(9月14日付琉球新報)
 「知事選で仲井真知事の承認に対する県民の意思をはっきり示し、具体的な方法をとっていく」
 「県民が撤回を望んでいるから尊重するというのは、こころを一つにできる表現だ。これは県民が試される話にもなる。損害賠償を国から求められる可能性もある。撤回と取消をどうみるかは、県民の考え方も必要になる。辺野古基地を造らさないために、何ができるかを考えていきたい」

9月16日の那覇市議会答弁(9月18日付沖縄タイムス)
 「私は承認しないと決意表明している。県民の判断が下された後に、承認の撤回、取り消しの選択を視野に入れて頑張りたい」

9月24日の定例記者会見(9月26日付沖縄タイムス)
 「仲井真弘多知事の埋め立て承認の取り消し、撤回も視野に入れ、いろんな手法で辺野古に基地を造らさない」

このような翁長雄志氏の発言をみれば、撤回も取消も選択肢として持っていることを示しています。

手元にある法律用語ハンドブックには、撤回と取消について下記のように記述されています。
「公法上の『取消し』は、行政行為に瑕疵があることを理由として、その効力を行為の当時に遡って失わせる行為をいうのに対して、『撤回』は行政行為に瑕疵はないがその後に発生した新たな事情によって、その行政行為の効果を持続させることは適当でないので、将来に向かって消滅させる行為をいうものとされている。」

そうであれば、「撤回」を公約に掲げることは「仲井真知事の埋め立て承認に瑕疵(欠陥)はないが、埋め立て承認後に、承認を持続させることが適当でないとされる新たな事情とは何かを明確にしなければ、説得力を持ちません。

「取消し」の場合は、仲井真知事の埋め立て承認にいたる経過も検証し、瑕疵を洗い出す作業が必要になります。

このような検討も検証もなしに、ただ「撤回」を掲げることが責任ある態度と言えるのかどうか・・・です。
撤回すること自体は、「私は嫌だから撤回する。県民も支持している」で良いのかもしれませんが、裁判にでもなればとても太刀打ちできるものではありません。

 翁長雄志氏が13日の出馬表明記者会見で述べているように、損害賠償などの可能性も考え、何が最善の方法なのかを皆で考えていくことこそ、責任ある態度と言えるのではないでしょうか。

また、裁判を起こされた場合は県民が一丸となって裁判を支えていく覚悟を固めていくこと、それこそが「県民が試されている」ことだと受け止めます。