沖縄県が実施した2018年度小中学生調査によると、子どもの貧困率は25%で、15年度の前回調査より低下したものの、全国平均の13.9%と比べて2倍近くに達している。

非正規率の高さ、離婚率とひとり親の割合が全国より高いという要因が、子どもの貧困につながっている。

が、問題はそれだけではなさそうだ。

親の就労状況に関する調査では、父親の就労形態が「正規の職員・従業員」と答えた割合が、全体では69.6%、非困窮層で75.7%、困窮層で48.0%となっている。

母親の正規雇用率は非困窮層で34.6%、困窮層で15.5%となっている。

一般的に、非正規雇用と比べて正規雇用は雇用が安定し、収入も高いと言われるが、沖縄でも父親が正規雇用でも生活に困窮している家庭が多いのである。

正規雇用であれ、非正規雇用であれ、8時間働けば普通に暮らせて、普通に子育てできる社会をつることなしに、子どもの貧困をなくすことはできない。

子どもの貧困は、子育て世代の親の貧困そのものだからだ。

そのためには最低賃金を大幅に引き上げることが有用である。

ところが、最低賃金の引き上げを議論する最低賃金審議会で、使用者側から必ず出てくるのが「中小企業は大変だ。経営の負担が大きくなって倒産しかねない」という意見である。

沖縄の法人企業の赤字率は、2017年度で59.65%と全国一低いとは言え、半数以上の法人企業が赤字を抱えているのだから、うなずけないことはない。

しかし、あえて言わせて貰えば、黒字であれ、赤字であれ、雇用している労働者に対して、まともな賃金が払えない経営者は、恥ずかしいと思わなければならない。

「まともな賃金を払えなくて申し訳ない。恥ずかしい」と思う経営者であれば、どうすればまともな賃金を払える会社にしていくか、知恵を絞り努力をするだろう。

労働者の低賃金をあてにして会社を経営している経営者は、知恵を絞り、努力を行うこともないだろうし、会社が利益をあげていても、労働者に配分することは少ないだろう。

2015年調査で子どもの貧困率が29.9%となった結果に、県内大手の経営者グループ代表は、「子どもの貧困解消のために、企業として何ができるか考えていきたい」との趣旨をコメントしているが、私に言わせて貰えれば、考える必要などない。

労働者の賃金を引き上げれば良いのだ。

グループ構成員企業を徹底的に調査し、貧困世帯に陥れらている労働者をなくすために、賃金を引き上げられる企業は直ちに賃金を引き上げ、引き上げが困難な企業に対しては「従業員に対する企業の責任」を自覚させる教育を行うべきだ。

いささか、乱暴な議論かもしれないが、「従業員が貧困な生活に陥るのは企業の責任」との自覚が欠かせないのだと思う。

沖縄県労連は、最低賃金直ちに1,000円、早期に1,500円の実現をめざしているが、すべて企業の責任でやるべきことだとは考えていない。国の予算を振り向けることが必要だ。

兵器を爆買し、外国にばらまき、政治を私物化して税金を自分とお友達のために浪費している場合じゃないのだ。

そして何よりも大事なことは、労働者自身が「まともに暮らせる賃金を払え!」と立ち上がることだ。

立ち上がるためには、仲間と力を合わせて労働組合をつくろう。一人でも加入できる労働組合も存在する。

全労連と全労連に加盟する労働組合は、労働組合づくりを親身になって応援している。

ぜひ、全労連の通話料無料のフリーダイヤル 0120-378-060 にダイヤルしていただきたい。