立ちっぱなしの労働は、思いの外重労働
随分前のことになりますが、解雇された労働者の相談をうけた時のことです。
何度か相談を重ね、団体交渉にこぎつけた日、その労働者は足を引きずって歩いていました。
聞くと、アルバイトで交通誘導をしているとのことです。
8時間、10時間を路上で立ちっぱなしの仕事ですから、足に負担がかかってまともに歩けない状態になっているのです。
「慣れるまでだから大丈夫」と笑っていましたが、やはり、きつい仕事なのでしょう。
交通誘導は、夏の暑い日照りの時も、寒い冬の雨の日でも仕事があれば、朝から晩まで立ちっぱなしで腕を振り続ける仕事です。時にはドライバーからの理不尽な罵声を浴びることも、車が突っ込んで死亡する事故も起きたりします。
ところが、警備業は低賃金の代名詞とも言える職業になってしまっています。
若者が希望の持てる職種になっているか?
最近相談に訪ねてきた50代の労働者は、交通誘導で時給850円です。
警備業は定期的に講習(教育)が義務付けられている仕事です。
その講習を受ける日の賃金は、最低賃金の時給790円なのです。
ある企業関係者は、「20年も委託金額を上げてもらない。労働者の賃金を上げたくても上げられない」と嘆き、「最低賃金でも採算割れするような仕事は断るしかない」と胸の内を明かしています。
警備業に限らず、仕事を発注する側は、発注先で働く労働者に最低賃金さえ払えないような低い金額で仕事を出すことについて、再考していただきたい。
警備業を営む企業も団結し、時給1000円以上の業界最低賃金を設定し、それを下回る賃金しか払えないような仕事はしないとの断固とした態度で交渉に臨めるようにすることを考えていただきたいと思います。
労働者も団結し、企業に対して賃上げを要求しましょう。
場合によっては、発注元企業に対して契約金額を引き上げるよう要請する道もありません。
そのためには、労働者がバラバラになっているのではなく、労働組合に団結しましょう。
労働者には労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)が保障されています。
そのような大事な宝物を持っていることを思い出しましょう。
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