沖縄県労連は、本日、玉城デニー沖縄県知事が辞令を交付した沖縄県労働委員会の労働者委員任命が不公正であるとして、下記の声明を発表しました。
第22期労働委員会労働者委員の不公正任命に強く抗議する
本日、玉城デニー知事は、沖縄県労働委員会第22期委員15人を任命した。
労働委員会は、公益、労働者、使用者を代表する各5人で構成され、不当労働行為の審査、労使紛争のあっせん、調停及び仲裁を行う重要な役割を担っている。
県労連は、第22期委員の任命にあたり、労働者委員を公正公平に任命するよう求めてきたが、玉城デニー知事が県労連を排除する任命を行ったことに対して強く抗議する。
沖縄県は、1999年の第12期労働者委員の任命から「ドント方式」なるものを導入し、県労連を排除し続けてきた。ドント方式を持ち出してきたのは、第9期から11期まで労働者委員を務めてきた県労連からの委員を排除するためであった。
県商工労働部は、委員の任命にあたり県労連から委員を任命しないことに関して、①労働省の54号通牒があること、②任命された委員は全労働者の代表である、との2点を挙げている。②については、県労連から委員が任命されてもそのように全労働者の代表として職務を遂行するのであるから、理由にはならない。
確かに、54号通牒と呼ばれる昭和24年7月29日付労働省発第54号「地方労働委員会の任命手続きについて」には、「委員の選考に当たっては産別、総同盟、中立等系統別の組合員数に比例させるとともに、貴管下の産別分野、場合によっては地域別等を十分考慮すること。」と記載されている。
しかし、この通牒は「留意事項」であって、絶対的なものではなく、最終的には任命権者である知事の裁量に任される。現に大田昌秀元知事は「マイノリティーの声も県政に反映させる。それが民主主義だ」との姿勢を貫き、第9期労働委員会委員に県労連から任命した経緯がある。
今日、県内における労働組合には、大別して2つの潮流が存在する。労働委員会にはこれらの潮流に属する労働組合、属さない労働組合が助けを求めて来るのであり、それぞれの潮流から委員を任命することが、労働委員会の役割をより良く発揮する上で重要である。
県労連は、5人の労働者委員全員を一方に独占させ、県労連を排除する任命のあり方が、玉城デニー知事が掲げる民主主義、ダイバーシティ(多様性)の尊重、誰一人取り残さない県政を実現するうえで、大いに問題があることを指摘して是正を求めてきたが、玉城デニー知事は、県労連の声に耳を傾けることさえ拒否して、不公正任命を強行した。
県労連は、玉城デニー知事が自らの政治姿勢に照らして、次期労働委員会委員の任命にあたっては、民主主義に則った任命を行うよう強く求めるものである。
2019年12月16日
沖縄県労働組合総連合
議長 穴井 輝明
付録として、下記の新聞記事を管理人の判断で付記しておきます。
1992年12月1日付の沖縄タイムス<プリズム欄記事>
○:高知県出身の沖縄戦没者慰霊祭のため来県した橋本大二郎高知県知事は11月30日、県庁に大田知事を訪問、約30分にわたって互いに抱える問題などについて意見交換した。NHKのニュースキャスターから県知事に華麗なる転身を遂げ、地方自治確立を旗頭にする橋本知事と、マイノリティーを尊重した開かれた県政を標榜する大田知事。二人とも一期目の県政運営で悩む胸の内を率直に語り合った。
○:「多数派野党のため議会の空転が多くて頭が痛い」という大田知事に、「議会対策の問題がやはりありますね」と同調する橋本知事。知事ゆえの苦悩を分かち合う場面もしばしば。「今も空港で空転中です」「ああ、石垣ですか。あそこで決まりなんですか。うちも滑走路延長の話があるのですが、裏表をすっきり出せば何とかなるのでは」とアドバイス。
○:橋本知事が最も関心を示したのは地方労働委員会に県が全国に先駆けて全労連系から委員を選出した問題。高知も全労連系からの登用に関心を寄せているだけに「連合との関係は?」「若い組合員への説得は?」など矢継ぎ早に質問した。「民主主義の理念からいえば道理ですがね。労働省から何か言われませんか」という問いには「好ましくないと担当部局にあったようだ」と大田知事。地方自治確立とマイノリティー尊重を目指す両知事も“上意下達”という現状下で中央の意向がやはり気になる様子だった。
辺野古の問題など、外に向かって民主主義を唱えるのは結構ですが、足元の民主主義についてもしっかりしてほしいものです。