海上ヘリポート安倍政権は、普天間基地の「代替施設」として、辺野古の海を埋め立てて2本のV字型滑走路を有する米軍基地の建設を強行している。

この代替施設にMVー22オスプレイが配備されることを、政府が公式に認めたのは2011年12月28日の未明に、沖縄県庁に運び込んだ環境影響評価書(アセスメント)によってである。

12月29日付の琉球新報によると、「評価書は約7千ページ。評価対象の航空機の一部を米軍が2012年中に導入予定の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイに変更。飛行ルートも集落上空を飛ばない名目で台形としていたが、米側から「飛行機は台形には飛ばない」と修正を求められたため、楕円形(だえん)とした。このためルートが名護市安部に近づく。」とある。

それまでは、知らぬ存ぜぬを通してきた。

しかし、政府が知らない訳がなく、政府にとって不都合な事実を隠し通してきたのである。

「1997年8月25日から29日にハワイ・ホノルルで開かれた海軍施設技術司令部の太平洋局による複数部局間の機能分析・構想開発会議( FACD:F unctionAnalysisConcept Development) に基づき、まとめられたエグゼクティブ・レポート「日本国沖縄県の普天間飛行場移設に関する国防総省の機能分析と運用構想」には、MV-22の文字が踊っている。

レポートのサマリーはまず、問題・懸念として次の点を指摘している。

「B,普天間飛行場移設先の施設の条件は、代替施設としての条件ではなく、その運用上の必要性に基づくものである。(代替とする)日本政府の移設基準を、普天間飛行場の移設に適用することはできない。(移設によって)部隊が分散し、これまで共有していた資産も共有できなくなり、また、新しい任務条件(MV-22)の必要性及び海上施設を離れての運用に起因する通常とは異なる条件のために資産の増加が必要となるであろう。」

このレポートが検討された当時は「海上ヘリポート」と呼ばれ、かなり矮小化した印象を与えるものであったが、それでもペンタゴンは「海上ヘリポート」が、日本政府のいう代替施設でないことを否定しているのである。

以下、MV-22に関する箇所を挙げてみる。

「海上施設とは要するに、利用可能なのがブラットホーム上に限られる、ということである。海上施設はMV-22を含むすべての占有航空機のための、支援的運用や訓練に必要な条件を満たすことになるだろう。」

「戦闘機装弾場は、4機のMV-22が同時に装弾することを支援し、誘導路で結ばれる。」

「最大で4機のMV-22が誘導路において自力で方向転換でき、また引き返すことができる空間を確保する。」

「格納庫の高さと高架昇降装置はCH-53E及びMV-22航空機の両方を整備するのに十分でなければならない。」

「腐食管理施設は、・・・別個の2室が必要である。1つは、取り外し用で、もう1つは塗装用である。それぞれの室は、例えぱMV-22,CH-53Eといった最大規模の航空機の収容が可能でなければならない。」
「航空機の洗浄施設は、航空機に無人誘導による淡水放出システムを提供するため海上施設上に必要であ。る。この施設は、MV-22のように回転翼及び固定翼両用機を収容できる大きさでなければならない。」

「洗浄施設は、MV-22航空機1機及びCH-53E航空機1機を同時に収容できる施設でなければならない。」

「必要とされる燃料補給場は、4機のMV-22に同時に給油する能力のあるホット補給タイプである。」

このように施設に関して事細かく注文を付けている。

注目すべきは下記の記述である。

「D、候補地の認可
この報告書の情報は、海上施設の設計構想を作成するために日本政府により使用される。設計構想は、建設候補地、基地の様式、基地の外形・形状の計画、及ぴ機能計画を含む。この情報は普天間実施委員会により見直し及び認可が行われる。」

つまり、このレポートは「海上ヘリポート」た米軍の運用上必要とする施設となるように、日本政府に対する注文書なのである。

日本政府の隠蔽体質は今に始まったことではないが、南スーダン現地部隊からの報告書問題も発覚しており、あまりにも国民を疎んじていると言わざるを得ない。