就業規則の作成・改定に意見書を書いたり、各種労使協定(代表的な協定として36協定)の締結する場合、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があれば、その労働組合が締結当事者となる。

そのような労働組合がない場合には、過半数の労働者を代表する者が、過半数代表者として意見を述べたり、協定することになる。

その過半数代表の選び方が、違法である場合が多いのである。

その結果として、「過半数代表者」が過半数代表者として機能しないことになる。

那覇市在のA社の例

Xさんから「賞与の支給日に在籍していたのに、賞与が支給されなかった」との訴えを受けて、一人でも加入できる労働組合「うまんちゅユニオン」に加入してもらい、去る3月1日に団体交渉を行った。

会社は、賞与を支給しなかった根拠として、就業規則の条文を引き合いに出して、労働者の非違行為を並べ立ててきた。

賃金規定の「賞与を支給することが不適当と認められる者」に該当するという訳である。

会社が挙げる「非違行為」があまりにも多すぎるので、一々反論するより先に就業規則の有効性を議論することにした。

この会社では昨年(2016年)と一昨年(2015年)に就業規則の改定を行ったというのであるが、Xさんはその事実を知らなかったからである。

過半数労働組合がない会社であるから、過半数代表者を選ぶ選挙なり何なりがなされなければならないが、そのような事実もない。

労働基準監督署への届出用紙を確認したら、過半数代表者の選出方法として抽選によると記載されている。

抽選!? 一体どんな抽選をしたのですか?

この問いに対して、総務部長は「知らない」。社長は無言

みんなが集まってきてクジでも引いて、当たり!となったんですか?

それとも、労働者の名前を書いた紙を箱にでも入れて、部長がクジ引きしたんですか?

総務部長と社長はともに無言。

そこで、助け舟のつもりで口を挟んできたのが、某社労士。

曰く。「ちゃんと労働基準監督署に出して受理されている。何であんたたちに追及されなければいけないんだ!」

労基署が受理さえすれば、過半数代表者はどんな方法で選んでも良いと思っているんだね。

一旦受理したとしても、違法な点が明らかになれば、労基署だって放ってはおかないだろう。

この会社がどのように「過半数代表者」を選んだのか!

会社の指名でBさんにサインさせ、「抽選ということにしておくから」である。

「過半数代表者」が明示的に代表するのは自分一人

そのような事情であるから、就業規則のどこを、どのように改定するのか、労働者は「過半数代表者」を除いて誰一人として知らない。

本来、労働者の過半数を代表する者は、就業規則の改定案に対して、賛成、反対、いずれが過半数の労働者の意見なのかを把握しなければ、態度を決められないはずであるが、それをしないのだから、過半数どころか明示的には自分一人しか代表しないことになる。

過半数代表者の選出方法とその機能について、明確にしていくことが必要である。