安倍首相は14日の記者会見で、新型コロナウイルス対策の一つとして、中小企業の労働者を対象に、本人申請の新たな制度を創設すると発表した。

新給付金は、①雇用調整助成金を申請していない中小企業の労働者で、②休業を余儀なくされたにもかかわらず、事業主から休業手当の支払いを受けていない労働者で、③雇用保険の被保険者ではないパートやアルバイトも対象と報道されている。

27日に閣議決定するということのようだから、詳細が明らかになるのは早くてその辺りだろうが、現在の報道の範囲内で考えれば、不公平が生じる恐れがある。

特に、問題と思われるのは、②に関してである。

逆に考えれば、事業主から休業手当の支払いを受けている労働者は対象外となってしまう。

これまで、沖縄県労連に寄せられた休業手当関係の相談で多かったのは、「休業手当が平均賃金の6割」というものである。この「平均賃金の6割」という額は、通常の賃金の5割以下にしかならない極めて低額で、賃金水準の低い沖縄県においては、社会保険料などの公租公課を控除すれば、手にするのは2~3万円という労働者も多い。

雇用調整助成金を受けるには、平均賃金ではなく支払われた通常の賃金がベースとなっており、60%以上の休業手当を支払うことが条件となっている。

新給付金が賃金の何パーセントまで給付するのか明らかではないが、雇用調整助成金を参考に60%を給付すると仮定すれば、格差が生じることになる。

平均賃金は労働基準法では、3か月の賃金を暦日で除した金額で、通常の賃金の7割前後になる。

それを前提に考えると、平均賃金の60%の休業手当は、仮に1日の賃金が1万円と仮定すると10,000円×0.7×0.6になるので、4,200円となる。

一方、新給付金は、10,000円×0.6=6,000円となり、1,800円の差額が生じることになる。

従って、休業手当を支給されているかどうかを条件にすることなく、休業手当が支給されている労働者であっても、新給付金制度での支給水準に届かない場合は、差額を支給することが必要だと考える。

新給付金は、最低でも通常の賃金の8割以上、年収200万円以下の労働者に対しては全額給付すべきというのが、私考えである。