労働契約で、あらかじめ損害賠償を予定することは、労働基準法第16条により禁止されています。
労働基準法第16条は、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と定めています。
3年勤める約束だったのに2年で辞めるのは約束違反だから●●円払え、というのが、労働契約の不履行に対する違約金ということです。
このような問題は、一時期医療機関関係で大きな問題となりました。
病院で働きながら、看護師の資格取得をめざして学校に通う看護学生に対して、病院が学費等を支給する代わりに、卒業後3年間は勤める。3年勤めずに途中で退職したら、支給した学費等を全額(又は一部)を返還する、ということが行われてきました。
いわゆる「お礼奉公」というものです。
損害賠償額については、労働者の故意又は過失によって、使用者に生じた損害を賠償させることは禁止されていませんが、あらかじめその額を決めておくことはできません。
下記の表は、ある運輸関係の企業で、実際に決められていたものですが、このような賠償額を決めてはいけません。
10万円以内のの事故 | 30,000円 |
10~20万円以内の事故 | 50,000円 |
20~30万円以内の事故 | 70,000円 |
30~40万円以内の事故 | 80,000円 |
40~50万円以内の事故 | 90,000円 |
50万円以上の事故 | 100,000円以上 |